機械の「内部短絡(内部ショート)」とは、機器や部品の内部において
本来は絶縁されているはずの正極と負極(あるいは異なる相の配線)が
意図しない経路で直接つながってしまう現象を指す。
特にリチウムイオン電池などの蓄電デバイスや、モーター
変圧器などの電気機械において非常に重要な故障モードのこと。
外部短絡
機器の外側(端子間やコードの破損など)で電線同士が触れること。
ブレーカーやヒューズで保護しやすいのが特徴。
内部短絡
機器やセル(電池の最小単位)の「中」で発生すること。
外側から遮断することが難しく、エネルギーが内部で一気に解放されるため、非常に危険。
内部短絡は
主に「絶縁体(セパレータや被覆)」の破壊によって起こる。
① リチウムイオン電池の場合
電池内部には、正極と負極を分ける「セパレータ」という薄い膜がある。
これが何らかの理由で破れると短絡が発生する。
主な破損の原因
② 電気機械(モーター・変圧器)の場合
内部短絡が起きると、電気抵抗が極めて小さい状態(短絡状態)で電流が流れるため
ジュール熱が発生する。
生成される熱量 Qは以下の式で表される。
電池の場合、この熱がさらなる化学反応を呼び、「熱暴走(Thermal Runaway)という現象を引き起こす。
一度熱暴走が始まると、数秒から数分で数百℃に達し、発火や破裂に至る恐れがある。
| 原因の分類 | 具体的な内容 |
| 製造上の欠陥 | 金属バリの残存、不純物の混入、セパレータのピンホール |
| 物理的要因 | 落下、衝突、振動による内部構造のズレや破損 |
| 電気的要因 | 過充電、過放電による電極の変質(デンドライト成長) |
| 環境的要因 | 高温環境での使用(絶縁体の融解)、湿気による腐食 |
内部短絡を完全にゼロにするのは難しいため、多重の防御策が取られている。
材料の改良
熱で溶けて穴を塞ぐ「シャットダウン機能付きセパレータ」や
不燃性の電解液の研究が進んでいる。
電圧や温度の微小な変化を検知し、異常があれば回路を遮断して
致命的な事故になる前に停止させる。
品質管理
製造工程でのX線検査やCTスキャンによる内部構造のチェックが徹底されている。