浮遊電圧についての基礎知識まとめ

「浮遊電圧(フローティング電圧)」は
物理的にどこにも接続されていない導体に、周囲の電磁界の影響で発生してしまう電位のこと。

浮遊電圧が発生する主なメカニズム

浮遊電圧の主な原因は「静電結合」と「誘導結合」にある。

静電結合(容量結合)

2つの電線が隣り合っていると、その間には空気などの絶縁体があっても
微小な「コンデンサ(静電容量)」が形成される。

交流(AC)電源が流れている電線の隣に未接続の電線があると
この微小なコンデンサを通じて電気がわずかに漏れ出し
未接続の電線に電圧が発生する。

誘導結合(磁気結合)

大きな電流が流れている電線の周囲には磁界が発生する。
その磁界の変化によって、近くにある別の電線に起電力が発生する現象(電磁誘導)のこと。

なぜテスターで検知できてしまうのか?

「浮遊電圧は微弱なはずなのに、なぜ50Vや100Vといった大きな値が出るのか?」

それは、近年のデジタルマルチメーターの「入力インピーダンス(内部抵抗)」が非常に高いためだと
考えられる。

デジタルマルチメーターの特性

測定対象に影響を与えないよう、一般的に 10 MΩ 以上の非常に高い抵抗を持っている。
結果、浮遊電圧によるごくわずかな電荷(エネルギーとしては極小)であっても
テスターの抵抗が高いせいで逃げ場がなくなり、そのまま電圧として数値化されてしまう。
※これを「ゴースト電圧」と呼ぶこともある。

浮遊電圧の危険性と対策

浮遊電圧の危険性

誤認による事故

「電圧があるから活線だ」と思って作業を中断したり
逆に「どうせ浮遊電圧だろう」と思い触れたら
実は絶縁破壊による本当の漏電の可能性が最も危険となる。

電子機器の誤作動

微弱な電流でも、インピーダンスの高いIC入力端子などに入ると
ノイズとして認識され誤作動の原因になる。

浮遊電圧の対策

  1. LoZ(低インピーダンス)機能付きテスターの使用
    意図的に入力抵抗を下げて測定することで
    微弱な浮遊電圧を逃がし、本当の電圧(活線)かどうかを判別できる。
  2. 適切な接地(アース)
    未使用の電線や金属筐体を接地することで
    浮遊電荷を逃がす。
  3. シールド線の使用
    外部からの電磁界の影響を防ぐ。

浮遊電圧のまとめ

特徴内容
正体接続されていない導体に、周囲から誘起された電圧
原因静電結合(コンデンサ成分)や誘導結合
見分け方LoZ機能で測定するか、電球などの負荷を繋ぐと消える
注意点感電事故やノイズによる精密機器の故障
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