高圧配電線地絡事故時の対地電圧変化についての備忘録

高圧配電線地絡事故についての概略

高圧配電線における地絡事故は、電線が樹木に接触したり、塩害や老朽化でがいし(絶縁体)が
破損して電気が地面に流れたりする現象。

日本の高圧配電線(6.6kV)は通常非接地方式が採用されているが
地絡事故時の挙動や保護の仕組みをりかいすることが重要となる。

放置によっておこる現象

  • 感電事故: 漏電している箇所に人が触れると命に関わる。
  • 異電圧混触: 高圧線が低圧線に接触すると、家庭内のコンセントに高電圧が流れ込み
    火災や機器の破壊が発生する可能性がある。
  • 短絡への進展: 地絡箇所の熱で絶縁がさらに悪化し
    相間短絡事故へ移行することがある。

地絡事故の種類

  • 完全地絡
    電線が直接地面や構造物に接触し、絶縁がゼロになった状態。
  • 不完全地絡(間欠地絡)
    樹木の接触や、がいしの微細な亀裂などにより、断続的または高い抵抗を介して漏電する状態。

図を用いた高圧配電線の対地電圧について

配電用変圧器高圧側

高圧配電線の電圧

左図:線間電圧 右図対地電圧

左下の図のようにY結線の線間電圧と相電圧の関係となる。
=線間電圧(V)=√3×相電圧(V)となる。

高圧配電線の絶縁が正常で地絡していない時は相電圧対地電圧となり、
線間電圧6600Vを√3で割った電圧が正常な時の対地電圧となる。
これにより、対地電圧は6600÷√3≒3810Vとなる。

ただし地絡時の対地電圧は状況によって変化する。

地絡事故時の対地電圧の変化について

高圧配電線が正常な場合の対地電圧

高圧配電線が正常な場合の対地電圧は
各相3810Vで 変圧器の相電圧と同じで平衡がとれている。

しかし、同じ3810(V)と言っても地絡時の電流計算には対地電圧を使わず
配電用変圧器の電源側1相分の相電圧3810Vを使用。
相電圧と対地電圧は次の図のように異なる。

配電用変圧器の相間電圧3810Vと高圧配電線の絶縁が良好で
地絡していない場合の対地電圧3810Vの電圧が同じだが意味が異なる。
変圧器の相間電圧は固定して変化しないが、対地電圧は地絡すると各相変化する。

相電圧と対地電圧

高圧配電線の絶縁が正常な状態であるときの対地電圧は図の右下のようにY結線となっていてY結線の
中心に対地電圧の中性点があり、ここに大地との接地が
つながっているということがわかる。
配電線の絶縁が悪くなり地絡すると、この中性点が接地とともに変化する。

1線地絡事故時の対地電圧の変化

左図のような高圧配電線で青相が断線して完全に地絡した状態(青相1線地絡)の場合
右図の中性点につながっていた接地が配電線の青相の電線に直接つながった状態となり
青相の対地電圧は3810Vから0Vとなることがわかる。(点線から実線に移動する。)

そのかわり赤相と白相の対地電圧が線間電圧と同じになり3810Vから6600Vへ上昇する。
このことから配電線の絶縁が低くなり地絡していくと
地絡した相の対地電圧は下がっていき健全な相の対地電圧が上昇する。

0Vになった理由

青相が1線地絡を起こし完全に大地とつながった場合の
青相の対地電圧が 0Vとなったが、 なぜそうなったか

1線地絡した場合、青相の対地電圧が3810Vから0Vへ変化する。
これは青相対地電圧がなくなったのではなく、逆の電圧である零相電圧が発生し互いに打ち消しあったため。
そして赤相と白相の対地電圧は零相電圧分を含めて6600Vに上昇する。

名無し管理事務所

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