(1)起磁力
電流が流れる通路を電気回路というのに対して
変圧器や発電機等の磁束が通る通路を磁気回路(または磁路)と呼ぶ。
上図のように、環状鉄心にコイルを巻き、これに電流を流すと
鉄心中に磁束が生じる。磁束の飽和がなければ、コイルの巻数 N が多いほど
また電流 Iが大きいほど磁束は大きくなる。
→磁束 φ は巻数 N と電流 I の積 NI に比例する。
この磁束が生ずるもとになる NI を起磁力と呼ぶ。
※起磁力の単位は [A] である。
起磁力 F = NI [A]
起磁力は、電気回路における起電力に相当する量。
(2)磁気抵抗
起磁力 F と磁束 φの比を磁気抵抗(リラクタンス) Rm と呼び、磁束の通りにくさを表す。
磁気抵抗は電気回路における電気抵抗に相当する量である。
上記式から磁気抵抗の単位は、アンペア毎ウェーバ [A/Wb] となるが、毎ヘンリー [H-1] も使用されている。
具体例
300回巻のソレノイドに 2A の電流を流したとき
磁気回路中に 0.04Wb の磁束が発生したときの磁気抵抗 Rm は、
電気抵抗と同様に、磁気抵抗は磁路の長さ l [m] に比例し、鉄心の断面積 S [m^2] に
反比例するので次式で表される。
mu は透磁率と呼ばれ、磁気回路を構成している物質によって決まる量で
その単位は [H/m] (ヘンリー毎メートル)。
透磁率は電気回路における導電率に相当する量。
なお、真空の場合の透磁率 u0 は、
また、u と u0 の比は比透磁率 urと呼ばれ、次元のない量となる。。
空気の比透磁率は 1 に極めて近い値なので
真空の透磁率と同じ記号 mu0 が使用されている。
比透磁率の例
| 物質 | 比透磁率 μr | 物質 | 比透磁率 μr |
| 空気 | 1.0000 | 純鉄 | 200 ~ 8,000 |
| アルミニウム | 1.0002 | ニッケル | 250 ~ 400 |
| 銅 | 0.9999 | パーマロイ | 8,000 ~ 10,000 |
磁束 φは、下記式(磁気回路におけるオームの法則)で表される。
磁気回路と電気回路はオームの法則のほか
キルヒホッフの法則が成立するなど類似していることが多数あるので
対応させて考えると理解しやすい。
電気回路との相違点として、電気回路では抵抗に電流が流れると
ジュール熱が生じて電力の消費が発生するが、磁気回路においては磁束が一定の場合エネルギーの消費はない。
また、電気回路のコンデンサやインダクタンスに相当する素子は磁気回路には存在しない。
させると下記表のようになる。
磁気回路と電気回路の比較表
新電気2019年2月号「2019年 電験三種 合格セミナー 理論 磁界」より引用