スマート保安についての基礎知識まとめ①(関係法令とガイドライン)

スマート保安とは、IoT、AI、ドローン、ビッグデータなどのデジタル技術を導入し
産業インフラや電気設備、プラントなどの
「安全性(保安)」と「効率性(生産性)」を同時に向上させる新しい保安の取り組みのこと。

経済産業省が国を挙げて推進しており、特に労働人口の減少やインフラの老朽化が進む日本において
これまでの「人が現場に行って、経験と勘で点検する」という従来型の保安からの脱却を目指している。

スマート保安が求められる背景

ベテラン技術者の高齢化と人手不足

日本のインフラや製造業を支えてきた熟練技術者が次々と引退を迎えていいる。一方で
若手の入職者が減少し、技術の継承や現場の保安要員の確保が深刻な課題になっている。

高経年化(インフラの老朽化)

高度経済成長期に造られたプラントや電気設備、社会インフラが一斉に寿命を迎えつつあり
トラブルのリスクが高まる一方で、点検すべき対象は増え続けている。

相次ぐ自然災害への対策

台風や集中豪雨、地震など、近年激甚化する自然災害に対して
迅速な状況把握と早期の復旧体制を構築する必要がある。

スマート保安の定義

スマート保安官民協議会による定義

① 国民と産業の安全の確保を第一として、
② 急速に進む技術革新やデジタル化、少子高齢化・人口減少など経済社会構造の変化を的確に捉えながら、
③ 産業保安規制の適切な実施と産業の振興・競争力強化の観点に立って、
④ 官・民が行う、産業保安に関する主体的・挑戦的な取り組みのこと。

具体的には、
① 十分な情報やデータによる科学的根拠とそれに基づく中立・公正な判断を行うことを旨として、
② IoTやAIなど安全性と効率性を高める新技術の導入、現場における創意工夫と作業の円滑化などにより産業保安における安全性と効率性を常に追求し、
③ 事業・現場における自主保安力の強化と生産性の向上を持続的に推進するとともに、
④ 規制・制度を不断に見直すことによって、将来にわたって国民の安全・安心を創り出すこと。

「スマート保安推進のための基本方針(スマート保安官民協議会)」より引用

まとめ

新技術の導入および現場における創意工夫などを追及し
自主保安力の強化と効率性を常に追求するとともに
必要な規制見直しなどを官民一体となって推進することで安全・安心を創り出すことがスマート保安といえる

電気保安分野 スマート保安アクションプラン(経済産業省)の場合

① スマート保安技術の妥当性・実効性の確認と
カタログ化からのスマート保安技術開発促進と現場実装の支援
② スマート保安技術普及に向けた規制等見直しへの貢献
③ スマート保安技術の普及・拡大の支援
電気保安分野 スマート保安アクションプラン(スマート保安官民協議会 電力安全部会)より引用

スマート保安における関係法令

「平成15年経済産業省告示第249号」お よび「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」 (以下、「内規」という)が改正され、関係法令の整備も進められている。

改正の具体的内容

以下の条件の下、遠隔点検が認められることである。
① 遠隔点検が適確にできるものであって、第三者認証を受けたものであること。
② 遠隔点検の実施について保安規程に規定していること。
責任分界点またはその近傍に、地絡継電器装置付高圧交流負荷開閉器(G付PAS 等)があること。
④ 低圧電路絶縁監視装置が設置されていること。
⑤ 遠隔で問診を行う場合、設置者またはその従事者は原則として現地にて問診を受けること。
3ヵ月1回以上は現地での点検が必要となっている。

遠隔点検が的確にできるものの条件

①に記載した「遠隔点検が適確にできるもの」の条件としては、内規に以下の 内容が記載されている。

① カメラにより高圧機器の電路引出し部および機器本体の大半部の状態が確認できること
② 主遮断装置の近傍の電路における電圧および電流の値が確認できるものであること
③ 電気管理技術者等と協議のうえで、異常な熱を検知する物を施設するもので あること

上記のとおり、現時点で法整備が完了しているスマート保安技術としては
カメラを使用しての遠隔点検が主たるものとなる。

参考資料

新電気2023年12月号「現場の電気保安実務 第212回 電気設備のスマート保安の現状」より一部引用

●スマート保安推進のための基本方針(スマート保安官民協議会)

●電気保安分野 スマート保安アクションプラン(スマート保安官民協議会 電力安全部会)

●スマート保安プロモーション委員会資料(独立行政法人製品評価技術基盤機構)

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