電線とケーブルの違いについての備忘録

法令における「電線」の定義

電気設備に関する技術基準を定める省令第1条「用語の定義」において
「電線」とは強電流電気の伝送に使用する電気導体(裸線)のことを指す。
また、絶縁物で被覆した電気導体(絶縁電線)もこれに含まれる。
さらに、絶縁物で被覆した上をさらに保護被覆で保護した電気導体(ケーブル)のことも「電線」という。

→法律上はケーブルも「電線」の一種として扱われている

電線とケーブルの構造上の明確な違い

より詳細に分類すると
構造面で明確な違いが現れる。

シース(保護被覆)があるかないかが
実務上で「電線(絶縁電線)」と「ケーブル」を呼び分ける最大のポイントになる。

電線とケーブルの施工(配線)方法の違い

構造が異なるため
許容される配線方法も大きく変わってくる。

ケーブルの配線方法

ビルの天井裏などに転がし配線することができる。
シースによって物理的な保護がされているため。

電線の配線方法

金属製または合成樹脂製の電線管に収めて配線しなければいけない。
絶縁体のみでは外傷に弱いため、管による保護が必須となる。

主な用途の分類

これらの電線やケーブルは
用途によって大きく以下の3つに分類することができる。

  1. 電力用
  2. 制御用
  3. 情報通信用

実務におけるポイント・最新情報

代表的な種類と現場での使い分け

実務では、用途や施工環境に応じて適切な電線・ケーブルを選定する。
以下は代表的な例。

名称分類特徴・主な用途
IV線絶縁電線屋内配線で最も一般的。
電線管に通して使用する。
盤内の配線などにも多用される。
VVFケーブルビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形)。住宅の屋内配線で主力。ステップル等で直接固定可能。
CVケーブル架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル。
耐熱性が高く
高圧・低圧問わず
幹線等に広く使われる。

盤内配線や電線管路が整備されている場所ではコストと
取り回しに優れた「電線(IV線など)」を使用し
管路の確保が難しい天井裏や露出箇所では「ケーブル(VVFやCVなど)」を採用するのが基本。

「エコケーブル」の普及

近年、環境配慮や防災の観点から「エコケーブル(EMケーブル)」の採用が急速に進んでいる。

従来のVVFやCVのシースには塩化ビニルが使われており
燃焼時に有害なハロゲンガスや大量の煙が発生するリスクがある。
一方、エコケーブル(EM-EEFやEM-CEなど)は
ハロゲンを含まない材料(ポリエチレン系など)を使用しているため
火災時の安全性が高く、現在では公共施設や大規模商業施設での標準仕様となっている。

エコケーブルは従来のビニルシースに比べて「やや硬く、被覆が剥きにくい」という
施工上の特徴があるため、現場の実務者は専用のストリッパーを使用するなど、取扱いに少し慣れが必要となる。

まとめ

  • 法律上は、ケーブルも「電線」の一種である。
  • 構造上は、導体+絶縁体のものが「電線」、さらにシース(保護被覆)があるものが「ケーブル」である。
  • 施工上は、電線は電線管に収める必要があり、ケーブルは転がし配線が可能である。
  • 実務上は、環境配慮型の「エコケーブル」が公共施設等を中心に主流となっている。

参考資料

新電気2021年1月号
「理論と実務を結ぶ電気のQ&A Question 54 電線(ケーブル) その1」より一部引用

法令・公的規格

電気設備に関する技術基準を定める省令 第1条(用語の定義)

電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)
第156条・第158条・第164条(低圧屋内配線、金属管工事、ケーブル工事、転がし配線等のルール)。

国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)」
公共施設等におけるエコ電線・エコケーブル(EM線・EMケーブル)の標準採用基準。

工業規格・業界基準
JIS C 3307(600Vビニル絶縁電線 / IV)
JIS C 3342(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 / VVF)
JIS C 3605(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル / CV)

一般社団法人 日本電線工業会(JCMA)技術資料

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