自家用電気設備における電気事業法は
「規模の大きな電気設備で事故を起こさないための、持ち主(設置者)の自己責任となるルール」のこと。
一般の家庭(一般用電気工作物)とは違い
工場、オフィスビル、中規模以上の店舗など
高圧(600Vを超える電圧)で受電する設備などが「自家用電気設備」に該当する。
電気事業法では、これらの設備を持つ者に対し、主に以下の4つの義務を定めている。
「高圧受電の施設にする場合、電力会社任せにするのではなく、自分たちで責任を持って専門家を置き、ルールを決めて安全を管理してください」というのがこの法律の趣旨となる。
電気事業法では「自家用電気工作物の設置者」に対し
大きく分けて以下の法的義務を課している。
これらは電気事故を防ぎ、安全に電気を利用するための根幹となる。
| 条文 | 義務の名称 | 概要 |
| 39条 | 技術基準適合維持 | 設置者は、経済産業省令で定める技術基準に適合するように事業用電気工作物を維持すること。 |
| 42条 | 保安規程の制定、届出、遵守 | 設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために保安規程を定め、経済産業大臣まで届け出ること。 また、設置者とその従事者は、保安規程を遵守すること。 |
| 43条 | 主任技術者の選任、届出 | 設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために主任技術者を選任し、経済産業大臣に届け出ること。 |
主任技術者の「外部委託承認制度」の活用
43条において主任技術者の選任が義務付けられているが
中小規模の工場やビルなどでは、自社で有資格者を雇用することが困難なケースが多い。
実務では、要件を満たす電気保安法人や個人の電気管理技術者に保安業務を
委託する「外部委託承認制度」を利用するのが一般的となる。
※外部委託をしたからといって「設置者の責任」がなくなるわけではない点に注意が必要。
サイバーセキュリティと自然災害への対応(最新動向)
近年、スマートメーターの普及や設備のIoT化に伴い
電気設備へのサイバー攻撃リスクが懸念されている。
また、激甚化する台風や水害などの自然災害対策も急務となっている。
これに伴い、最新の指導では42条の「保安規程」内に
サイバーセキュリティ対策や自然災害時の対応手順(BCP対策など)を明記し
適切に運用することが強く求められるようになっている。
特に見落とされがちなのが
42条における「設置者とその従事者は、保安規程を遵守すること」というルールとなる。
保安規程は、ただ作成して国に届け出れば終わりという書類ではなく
設置者(経営層・オーナー)はもちろん、その設備に関わるすべての従事者(従業員)が
ルールを守って運用・維持を行う義務がある。
具体例
点検時の停電対応や、異常発見時の連絡体制などが保安規程で定められている場合
それに反する運用をして事故が起きた場合、設置者の責任が厳しく問われることになる。
e-Gov法令検索「電気事業法」( https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339AC0000000170
経済産業省「電気保安に関する制度について」
https://www.safety-kanto.meti.go.jp/electric/e_seminar2025.html
令和7年度電気主任技術者セミナー実施概要 より一部引用