アルミ電線は、軽量かつコストメリットに優れるため
電力インフラにおいて重要な役割を担っている。
アルミ電線の仕様、材料、寸法、試験方法などを定める規格として
実務上必ず参照されるのが「JEC(電気学会規格)」と「JIS(日本産業規格)」となる。
JEC-3404:2022 (アルミ電線)
電気学会(電気規格調査会)が発行している団体規格となる。
近年、大幅な見直しが行われた。
電力会社向けや大規模な受変電設備の仕様書では
このJEC規格がベースになっていることが多く、最新の技術基準を確認する上で重要となる。
JIS C 3109:1994 (硬アルミニウムより線)
こちらは国が定める国家規格(JIS)。
発行年は少し古いが、現在でも有効な規格として広く運用されている。
JIS規格は基礎的な材料特性や構造を定めているため
更新スパンが長く、1994年の改正版が現在の最新バージョンとして扱われている。
JISとJECの使い分け方法
設計や機器の仕様確認の際、「JISとJEC、どちらを見ればいいのか?」と迷うことがあるが
現在の標準的な運用は以下の通り。
仕様書を作成・確認する際は、対象となる設備がどちらの規格を
要求しているかを明確にしておく必要がある。
実務上の豆知識として、JISの正式名称の変更がある。
2019年7月1日の法改正に伴い、以下の通り名称が変更された。
●旧名称: 日本工業規格
●新名称: 日本産業規格
規格の内容や番号(C 3109など)はそのままだが、名称のみが読み替えられて運用されている。
過去の図面や古い仕様書には「日本工業規格」と記載されていることが多いが
現在新たに作成する書類やお客様への提出資料では「日本産業規格」と表記するのが適切となる。
アルミ電線の主な使用場所
アルミ電線は、その「軽さ」を最大限に活かせる場所で主に使用される。
実務での捉え方
アルミ線は銅線に比べて導電率が約60%しかないため、同じ電流を流すためには
アルミ線の方が断面積を大きく(太く)する必要がある。
しかし、太くしたとしても重量は銅線の半分以下に収まり、さらに材料費も安価となる。
「太くなってもいいから、とにかく軽くて安い方が良い」
という架空線路のような環境ではアルミ電線が選ばれ
「限られたスペース(電線管や機器内)に細く収めたい」
という環境では軟銅線が選ばれる、という使い分けがされている。
電線の素材として代表的な「アルミ」と「銅(硬銅・軟銅)」の特性を比較表にまとめました。
| 比較項目 | アルミ線(硬アルミニウム線) | 銅線(硬銅線) | 銅線(軟銅線) |
| 導電率(電気の通しやすさ) | 約61% 同じ電流を流すためには、アルミは銅の約1.6倍の断面積(外径で約1.3倍)が必要になる | 約97% | 100%以上(基準) |
| 比重(重さの目安) | 約2.7(非常に軽い) 同体積であればアルミは銅の約1/3の軽さ | 約8.9(重い) | 約8.9(重い) |
| 引張強さ(機械的強度) | 銅に劣る | 高い | 低い(柔らかい) |
| コスト・価格変動 | 安価で比較的安定 | 高価で変動が大きい | 高価で変動が大きい |
| 主な用途 | 架空送配電線、大型母線 | 架空線(特殊用途)、接地線 | ケーブル導体、屋内配線、機器内配線 |
※導電率は標準軟銅を100%とした場合の概算値。
・JEC-3404:2022 アルミ電線(電気学会 電気規格調査会)
・JIS C 3109:1994 硬アルミニウムより線(日本産業規格)
・経済産業省 広報資料(2019年のJIS名称変更に関する通達)
・各種電線メーカー技術資料(アルミ・銅の導電率、比重、引張強さ等の比較データとして)