検電器の基本動作取り扱い方法まとめ②(直流電路の検電と残留電荷)

検電器の主な役割

電気は目に見えないため、作業前に「電気が止まっているか(停電しているか)」を
確認しないと感電事故につながる。
検電器は、音や光で電圧の有無を知らせ、作業者の安全を守る「命綱」のような道具となる。

検電器の種類の主な種類

検電器は、扱う電圧の高さによって使い分ける必要がある。

種類特徴該当するモデル
低圧用家庭用コンセントや工場の低圧回路(一般的にAC600V以下)で使用する。HTE-610
高低圧用低圧から高圧(例:6.6kVの配電線など)まで幅広く対応する。HSN-6A型
AC/DC両用交流(AC)だけでなく、直流(DC)の検電も可能。HSN-6A型

伸縮タイプ(HSN-6A型など)のメリット

高圧電線を検電する際、対象物に近づきすぎると危険。
そのため、HSN-6A型のような伸縮タイプは
持ち手を伸ばして十分な離隔距離を保ちながら安全に作業できるよう設計されている。

検電器の仕組み

  • 接触式
    検知部を端子などに直接当てて
    回路の一部を通る微弱な電流を検知する。

  • 非接触式(被覆の上から)
    電線の周りに発生する「電界」をキャッチする。
    HTE-610などの低圧用には、電線の皮剥きをせずに絶縁被覆の上から検知できるタイプが多い。

使用上の重要な注意点

使用前点検

外観にひび割れや破損がないか確認する。
「既知の電源(活電部)」に当てて、正しく音と光が出るか動作確認する。
※電池切れで反応しないのが一番危険。

既知の電源がない場合は
検電器本体のテストボタンを押して内蔵電池および回路の動作確認(セルフテスト)を行う。

正しい持ち方

特に高圧用の場合、握る位置(グリップ)が決まっている。
指示された位置より先を握ると感電の恐れがある。

検電の実施

対象の全相(3相なら3本とも)を確認すること。

検電器の使い分けイメージ

低圧用
家庭やオフィスのコンセント、ブレーカーの工事、家電の修理など。
ポケットに入るサイズで手軽に確認可能。


高低圧用
受変電設備(キュービクル)の点検や、鉄道・工場の高圧ラインなど。直流(DC)もいけるため
鉄道の架線や太陽光発電の設備点検にも重宝される。

直流電路の検電の概略

検電の仕組みと注意点

交流とは異なり、直流は静電容量を通って電流が流れないため
直流電路を検電する際には、検知部を電路の露出充電部に接触させると同時に
接地端子を大地に接続して閉回路を作る必要がある。
これにより、微小な直流電流が流れ、検電器が動作する仕組みとなる。

実務上で注意すべきポイント

  • 被覆上からの検電は不可
    直流電路は、ケーブルの絶縁被覆の上からでは検電できない。
    必ず露出した充電部に検知部を接触させる必要がある。
  • 専用の検電器が必要
    交流専用の検電器では直流を検知できない。
    必ず交直両用、または直流専用の検電器を使用すること。

直流電路の接地方式と対地電圧の違い

直流電路の接地方式には
主に「中点接地」「+(プラス)接地」「-(マイナス)接地」の3つの方式がある。

対地電圧(大地と電路間の電圧)は、どの接地方式を採用しているかによって大きく異なる。
例えば、マイナス接地の場合、マイナス極の対地電圧は0Vとなり、接地された電路では検電器は動作しない。
そのため、一部の線だけで判断するのではなく、すべての電路(極)を検電することが安全確保のために必要となる。

交流電路における直流残留電荷の注意点

高圧受電設備の年次点検などで最も気をつけなければならないのが
交流電路における「直流残留電荷」となる。

残留電荷の発生原因

交流電路に高圧電力ケーブルなどが接続されている場合
遮断器を開放(停電)した直後に直流残留電荷が残ることがある。
これは、電力ケーブルの心線とシールド(金属遮へい層)の間に大きな静電容量が存在し
シールドが接地されているため、コンデンサのように電荷が蓄えられるため。

この残留電荷は「直流」であり、その大きさは電路を遮断した瞬間の電圧値(瞬時値)となる。
タイミングによっては交流の波高値(最大値)に達することもあり、各相で電圧が異なるのが特徴。

交直両用検電器による確認

前述の通り、交流専用の検電器は直流に対して動作しないため
停電作業を行う際は、必ず交直両用検電器を使用する。
これにより、交流電源が確実に断たれているかの確認と同時に
直流残留電荷の有無を確認することができる。

交直両用検電器で残留電荷の有無を確認した後は
作業前に必ず放電用具(アースフックなど)を用いて大地に安全に放電させる必要がある。

参考資料

新電気2020年10月号「特設 太陽光発電システムに おける検電の注意点」より一部引用

長谷川電機工業株式会社 カタログ・取扱説明書(HTE-610, HSN-6A型)

厚生労働省:労働安全衛生規則(第339条 停電作業時の検電の義務など)

日本電気協会『高圧受電設備等規程(JEAC)』

ななし

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。 ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。 1. 保有資格 実務に関わる以下の国家資格を保有しています。 第3種電気主任技術者(2023年取得) 第1種電気工事士 建築物環境衛生管理技術者 2. 経歴・実務経験 電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。 現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。