絶縁抵抗計IR4053 PVΩ測定機能の備忘録

絶縁抵抗計とは

絶縁抵抗計は電気設備や家電製品が「電気漏れ(漏電)」を起こしていないかを
調べるための専門的な測定器のこと。

一般的なテスター(マルチメーター)とは異なり
電圧をかけて微細な電流漏れを検出するのが特徴。

PVΩ測定機能

太陽電池パネルと接地の間の絶縁抵抗測定を発電の影響を受けず正確に測定が可能

P-N間を開放状態での測定方法と回路図

接続箱出力端子と接地の間、ならびにパワーコンディショナーと接地の間を測定する場合は
通常の絶縁抵抗レンジを使用

テストリード先端の金属部で測定ラインの2線間を短絡しないこと。
アークの発生など重大な事故に至る可能性がある。

P-N間を短絡した状態で行う方法

正確に測定できるが、短絡によりアーク放電が生じる場合がある、非常に危険な方法。
太陽電池パネルの劣化状態により火災の恐れもある

PVΩの測定方法

測定準備  

1 接続箱の主開閉器を OFF にして、パワーコンディショナーとの接続を断つ
2 すべてのストリングの断路器を OFF にする
3 測定経路に避雷器がある場合は切り離す
※下図(太陽光発電設備例)の場合では、断路器のストリング側に避雷器がないため
 避雷器を切り離す必要はない。

1 MEASURE キーが OFF になっていることを確認する。
MEASURE キーが ON になっている場合は OFF にする。

2 ロータリースイッチを PVΩにセットする

3 を押し、試験電圧を 500 V または 1000 V にセットする。

●低圧の機器及び電路:500V絶縁抵抗計
●高圧または特別高圧の機器及び電路:1000V絶縁抵計測

4 を押し、ロックを解除する

測定   

5 黒色のテストリードを接地端子に接続する
6 赤色のテストリードをストリング側のP端子に接続する

P端子接地端子間に電圧が発生している場合は絶縁劣化の恐れがある。
測定対象に電圧が存在すると、電圧検知機能によりバックライトの赤色と白色が交互に点灯する。

MEASURE キーを押し続ける

連続測定をする場合は MEASURE キーを引き起こす。

抵抗値が表示されるまでテストリードを端子から離さないこと。
正確に測定できまない可能性がある。

8 約 4秒後抵抗値が表示されたら、値を確認する。
以降、1秒ごとに抵抗値が更新される。

絶縁劣化があり、抵抗値が基準値より低い場合は
手順 10 の N 端子側を測定しないこと。
 太陽電池パネルを破損する恐れがある。

MEASURE キーを OFF にする。

MEASURE キーが ON → OFF 後には、放電が開始され ≈ マークが点滅する。
※太陽電池から電圧が発生しているため放電が終了しても ≈ マークが消えない場合がある。

10 P端子側の測定で絶縁劣化がない場合
赤色のテストリードをストリング側の N 端子に接続し、手順 7 から手順 9 までを繰り返す

測定終了後

1 すべてのストリングの絶縁抵抗を測定後、黒色のテストリードを接地端子から外す
2 避雷器を切り離した場合は元に戻す
3 すべてのストリングの断路器を ON する
4 接続箱の主開閉器を ON に戻す

最後の測定または最後の操作から 1分間経過すると、[PRESS RELEASE KEY] が点灯し
500 V/1000 V RELEASE キーが点滅します。キーを押してロックを解除すること。

PVΩの測定原理

測定対象の抵抗Rxは、測定対象に電圧Vを印加し
このときに測定対象に流れる漏れ電流Iと印加電圧Vを測定し
(印加した電圧V)/(漏れ電流I)
から求めている。
(測定対象の発電による電圧値と電流値を減算している)

測定時の注意点


• 絶縁抵抗の測定中、測定端子に危険な電圧が発生している。
 感電事故を避けるため、テストリードの金属部分に触れないこと。

• 測定端子が確実に接続されていることを確認すること。
 端子が緩んでいると、接触抵抗が大きくなり、発熱、焼損、火災の原因になる。

• 測定後すぐに測定対象に触らないこと。
 高電圧に充電された電荷で感電事故を起こす可能性がある。

• 測定後は本器の放電機能で測定対象の電荷を放電すること。

• 太陽電池パネルを測定するときは、必ず断路器などをOFFにしてパワーコンディショナーから切り離すこと。

• 活線状態で絶縁抵抗を測定しないこと。
絶縁抵抗計を破損し、人身事故になる恐れがあります。測定対象の電源を切ってから使用すること。

• 太陽電池は日中は常時発電しており危険な電圧が発生しているため
感電しないよう十分に注意して測定すること。

• 接続箱や断路器などの金属部分には直接手で触れないこと。
発電による電圧で感電事故を起こす恐れがある。

• IR4053, IR4055の端子間最大定格電圧はDC 1000 V/ AC 600 V 。
定格がDC 1000 VまたはAC 600 Vを超える設備には使用しないこと。
※感電および故障する恐れがある。

• P-N間を短絡する方法で測定する場合は、PVΩ以外の絶縁抵抗レンジを使用すること。

• 夜間など、太陽電池パネルが発電していない場合は、P-N間を短絡する方法で測定推奨。

• 太陽電池パネルのバイパスダイオードが故障している場合は
絶縁抵抗測定をしてはいけない。太陽電池パネルを破損する恐れがある。

測定方法(動画ver)

参考資料

https://www.hioki.co.jp/jp/products/detail/?product_key=378#tab01
HIOKI 公式サイト ホーム 製品情報 絶縁抵抗計

PV用デジタルメガー | 絶縁抵抗計 IR4053
公式サイト動画引用

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.hioki.com/jp-ja/download/46103
HIOKI 絶縁抵抗計 取り扱い説明書より一部引用

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