許容電流(きょようでんりゅう)とは、電線がその絶縁体や導体の性能を損なうことなく、安全に連続して流すことができる最大の電流値のこと。
単位は アンペア(A)
許容電流の原理
電線に電流が流れると、電気抵抗によってジュール熱が発生し、電線の温度が上昇する。
この温度が、電線の絶縁物の耐熱温度を超えてしまうと、絶縁体の劣化、溶融、炭化などを引き起こし、
漏電や短絡、火災の原因となる可能性がある。
許容電流は、電線の種類(材質、太さ、絶縁物の種類など)、敷設環境(周囲温度、放熱性など)などを考慮して
電線ごとに定められている。
電線の太さ(断面積)
一般的に、電線の断面積が大きいほど電気抵抗が小さくなり、発熱量が少なくなるため
より大きな電流を流すことができます。
絶縁物の種類と耐熱性
電線の絶縁体には様々な種類があり、それぞれ最高許容温度が異なる。
耐熱性の高い絶縁体を使用した電線ほど、より高い温度まで使用できるため
許容電流も大きくなる傾向がある。
同じ太さの電線でも、絶縁物がビニル製かポリエチレン製かによって許容電流が異なる。
一般的に、ポリエチレンの方が耐熱性が高いため、より大きな電流を流すことができる。
周囲温度
電線が設置される周囲の温度が高いほど、電線自体の温度も高くなりやすいため、許容電流は低く設定される。
①放熱性
電線の放熱性が良い環境(空気が流れやすい場所、複数の電線を束ねずに配線するなど)では、電線の温度上昇が抑えられるため、許容電流を大きくすることができる。
逆に、電線を束ねて配線したり、密閉された空間に配線したりすると、放熱が悪くなり、許容電流は小さくなる。
②配線方法
単独で配線されるか、複数の電線と束ねて配線されるかによっても、放熱性が変わるため、許容電流が異なる。
許容電流を超えた電流を電線に流し続けると、以下のような危険性がある。