家電製品のプラグをコンセントに差し込んだだけで作動していない状態を
「待機時」と言う。
多くの家電製品は、その製品を使いやすくするための表示機能やタイマー機能、リモコン機能などが
マイコンで制御されているが、待機時にこれらの機能を維持するため消費する電力を
待機時消費電力と言う。
実際に製品を使用しているときの消費電力と比較するとわずかな量ではあるものの
月間あるいは年間単位で見ると、積み重ねで大きな電気代がかかってしまう。
待機電力が大きい家電を使用していると、知らないうちに電気代が蓄積されて家計の負担になってしまうため
使わないときはコンセントから抜いておくなど、待機電力を発生させないような工夫が大切となる。
待機電力の発生原因としてスイッチを入れたときあるいは信号を受信した際
家電製品がすぐに稼働できるようにするためが考えられる。
例)●タイマー予約や時計、メモリといった機能を維持するために、
コンセントにつないで常に電力が流れている状態にしておく必要がある。
●リモコンで操作する家電(テレビやエアコン)は、本体の電源が常にオンの状態(=コンセントに電源プラグが
差し込まれた状態)にしておかないと、リモコンからの信号を受信できない。
携帯電話などの充電器については、特に維持しておくべき機能はないが
コンセントに挿しているだけで待機電力が生じる。
家庭における一世帯あたりの待機時消費電力量は
平均で228kWh/年・世帯であり
家庭の一世帯あたりの全消費電力量(4,432kWh/年・世帯)の5.1%に相当する。
待機時消費電力量が多い機器
待機時消費電力量が多い機器はガス温水器、テレビ、冷暖房兼用エアコン
電話機、BD・HDD・DVDレコーダーなどである。
大区分別では、映像・音響機器、給湯機器、情報・通信機器などが大きな割合を占めている(下記表参考)
ガス温水器が最も待機電力を消費する理由
燃料としてはガスを使用するが、お湯の温度・量を測定するセンサーや
ガス量・水量をコントロールする弁に電気が使用されているのが
待機電力量が大きい理由となる。
また、ガス温水器には電子パネルが搭載されており、お湯を沸かしていなくても
現在時刻や設定温度などを表示させるのに電気を使う。
さらに、ガス温水器は浴室や台所といった複数の箇所で使用されるケースが多いため
ほかの家電製品よりも待機電力が大きくなりがちになる。
ガス温水器の電源プラグを抜くことは推奨されていない。
ガス温水器の多くには内部の凍結防止機能が搭載されているが
電源プラグを抜いてしまうと正常に機能しなくなり、温水器の破損や破裂といった危険につながる可能性があるため。待機電力を削減するならガス温水器の主電源を切るのみに留めようにすること。
テレビやエアコンなど身近な家電の待機電力
テレビはリモコンからの信号を受信してすぐに反応する必要があるほか
録画機能の維持や番組表の更新も行うため、コンセントにつないでおくだけで待機電力が発生する。
テレビの待機電力をまったく発生させないようにするには、電源プラグをコンセントから抜かないといけない。
テレビを見る機会が少ない場合、電源プラグを抜いたままにしておいてもよい。
エアコンについても同様で、コンセントにつながれた状態であればリモコン機能を受信するのに待機電力を消費する。そのため、長期間エアコンを使用しないときは、電源プラグを抜いておくのが推奨される。
ただし、使用直前にコンセントにつないで稼働させると冷媒の循環がうまくいかずに故障の原因となるので
本格稼働させる1日前に電源プラグを差し込んでおくこと。
BD・HDD・DVDレコーダーは、タイマー機能や録画機能を維持するのに待機電力を消費する。
また、温水洗浄便座はタンク内にお湯を溜めておく必要があることから
常時電源プラグをつないだ状態にしておくのが一般的となる。
パソコンおよびルーターなどの周辺機器についても、基本的には通電したままでの使用が想定されている。
待機電力がほとんど発生しない家電製品の特徴
ドライヤーやアイロン、電気ケトルなどのように、待機電力がほとんど発生しない家電製品もある。
これらの家電製品は使用時にのみ電源が入ることや常時維持しておくべき機能がないといった共通点があり
待機電力削減のために電源プラグの抜き差しをしてもあまり効果は期待できません。
主電源をオフにする
家電の中には、電源を一時的に切るためのボタンと主電源の両方が付いている製品がある。
テレビはリモコンで電源をオフにしたとしても、主電源が入っていることで
使用していない時間帯も待機電力が発生してしまう。
待機電力を抑えたいなら、リモコンではなく、テレビ本体に付いている主電源をオフにするのが効果的
資源エネルギー庁によると、家電の主電源をオフにすることで削減が期待できる待機電力量は年間44kWhで、19%の削減につながると報告されている。
電気代として、年間約1,200~1,400円を節約できる計算
電気プラグをこまめに抜く
コンセントから電気プラグをこまめに抜くことでも、待機電力の削減が期待できる。
エアコンはオンシーズンにはフル稼働しますので待機電力がかかりがちですが
エアコンを使用しないオフシーズンであれば、プラグを抜いて待機電力をカットが可能。
資源エネルギー庁によると、使っていない家電のプラグを抜くことで削減が期待できる
待機電力量は年間112kWhで、49%の削減が可能。
電気代としては、約3,000~3,500円を節約できる計算となり、主電源を切るよりも効果が高い
節電タップを活用する
プラグを都度抜き差しするのが面倒であれば、節電タップを活用するのも推奨される。
コンセントの差込口にオン・オフの切り替えスイッチが付いており
電源プラグを挿したままでも電気を通さない状態に切り替えられる。
さらに、複数の家電の電源プラグを一ヶ所にまとめて管理できるのも大きなメリットとなる。
待機電力をカットしたい家電製品のみスイッチを切ればよいだけなので、手間が少ないという利点もある。
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(一財)省エネルギーセンター「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書」より一部引用