ピーク負荷(Peak Load)とは
特定の期間(1日、1週間、1ヶ月、1年など)において、電力(またはその他のエネルギー)の需要が最も高くなる時点、あるいはその時の需要量を指す。
電力系統や個々の施設、機器において、その設計や運用に大きな影響を与える重要な概念。
時間帯による変動
季節による変動
曜日や休日による変動
気象条件
社会経済活動
●設備投資の増加
電力会社は、常に最大の需要(ピーク負荷)に対応できるよう
発電所、送電線、変電所などの設備容量を確保しておく必要がある。
このため、ピーク負荷が高いほど、より多くの設備が必要となり、設備投資が増加する。
しかし、これらの設備はピーク時以外は遊休状態となるため、設備の利用率が低下し
コスト効率が悪くなる。
●発電コストの上昇
ピーク時の需要に対応するためには、起動・停止が容易で出力調整が迅速に行える発電所
(石油火力発電所や揚水式水力発電所など)を稼働させる必要がある。
これらの発電所は、ベースロード電源(原子力、石炭火力など)に比べて発電コストが高いことが多く
結果として電力全体の供給コストが上昇する。
●系統の安定性への影響
ピーク需要が供給能力を上回る場合、電力不足となり
最悪の場合には大規模停電(ブラックアウト)につながる可能性がある。
急激な需要変動に対応するためには、発電機の出力調整能力が求められるが
限界を超えると周波数や電圧の安定性が損なわれるリスクがある。
●環境負荷の増大
ピーク対応発電所は、化石燃料(特に石油)を使用するものが多いため
ピーク時に稼働することで温室効果ガス排出量が増加し、環境負荷が高まる。
上記の課題を解決し、電力の安定供給と効率的な運用を図るために
「負荷平準化」と呼ばれる様々なピーク負荷対策が実施されている。
ピークカット(Peak Cut)
ピーク時の電力使用量そのものを削減する対策。
デマンドレスポンス(DR): 電力会社が、電力需要のひっ迫時に大口需要家や一般家庭に節電を要請し
協力者に報酬を支払う制度。
ピークシフト(Peak Shift)
電力使用の時間をずらし、ピーク時の需要を他の時間帯(通常は夜間や休日の低負荷時)に移行させる対策。
ボトムアップ(Bottom Up)
電力需要は時間的な特性から、以下の3つに区分される。
ベースロード負荷(Base Load
年間を通じてほぼ一定して存在する電力需要。
24時間稼働している工場や、家庭の常時使用電力などが含まれる。
ミドルロード負荷(Middle Load)
季節や日中の活動によって変動する中程度の電力需要。
ピークロード負荷(Peak Load)
1日や季節の中で一時的に最大となる電力需要。