ジュール熱についての概略
ジュール熱とは、電気が流れるときに発生する熱のこと。
電線や電気を通すもの(導体)の中に、電流が流れるときに発生する熱がジュール熱となる。
電流が流れるとき、自由電子(電気を運ぶ小さな粒)が抵抗の働きをする原子や分子にぶつかり
その衝突によって原子や分子が激しく振動し、この振動が熱として放出されるのがジュール熱なんです。
ジュール熱の発生場所について
ジュール熱は、電気抵抗を持つすべての導体で発生する。
どんな電子部品にも抵抗成分は存在するやめ、電流が流れれば多かれ少なかれジュール熱は発生する。
例えば、普段使っている家電製品の中の配線や部品でも、微量ながらジュール熱が発生している。
ジュール熱の計算方法
ジュール熱の量は、「ジュールの法則」という式で計算できる。
Q=I2Rt
- Q: 発生する熱量(ジュール:J)
- I: 流れる電流(アンペア:A)
- R: 抵抗(オーム:Ω)
- t: 電流が流れる時間(秒:s)
電流が大きくなったり、抵抗が大きくなったり、電流が流れる時間が長くなったりすると
発生するジュール熱も大きくなる。
また、単位時間あたりのジュール熱のことを「電力」といい
ワット(W)で表される。
電力は以下の式で計算できる。
P=I2R=VI
- P: 電力(ワット:W)
- V: 電圧(ボルト:V)
ジュール熱の身近な利用例
ジュール熱は、熱を発生させる特性を活かして
私たちの身の回りにある様々な家電製品や機器に利用されている。
- 暖房器具
- 電気ストーブ、電気こたつ、電気毛布
電熱線(ニクロム線など抵抗の大きい線)に電流を流すことで熱を発生させ、部屋や体を温める。
- 調理器具
- 炊飯器、電気ケトル、電気コンロ、トースター
ヒーター部分に電流を流し、食材を加熱したり、お湯を沸かしたりする。
- IHクッキングヒーター
電磁誘導によって鍋自体に電流を流し、鍋の抵抗でジュール熱を発生させて加熱する。
- その他
- アイロン: 電熱線で底面を加熱し、衣類のシワを伸ばす。
- はんだごて: 先端部分を加熱し、はんだを溶かす。
- ヒューズ: 過電流が流れた際に、ジュール熱によってヒューズが溶断し、回路を保護する。
ジュール熱の注意点
ジュール熱は便利な一方で、電気火災などの原因にもなり得る。
- 配線の発熱
電流が流れすぎたり、細すぎる電線を使ったりすると
ジュール熱で電線が過度に発熱し、被覆が溶けたり、火災の原因になったりすることがある。
- タコ足配線
複数の電気製品を一つのコンセントに接続すると、想定以上の電流が流れてしまい
配線やコンセントが発熱し、火災のリスクが高まる。
- 放熱不足
電子機器内部で発生するジュール熱が適切に放熱されないと
機器の故障や寿命短縮につながる。