EはElement:要素を意味しており
過負荷要素、欠相要素、反相要素の3つの要素をもつリレーを3Eリレーと呼ぶ。
(1)過負荷保護
過負荷要素はモータ保護機能で、この要素が正常に発揮されればモータ保護の大部分がカバーできる。
過負荷の確実な保護のためには、3Eリレーの動作値整定および動作時間整定を正しく行うことが必要となる。
モータの保護協調を考える場合、回路に接続されている機器相互の協調を検討することが必要。
下記に検討事項を示す。
保護協調曲線の作成手順は次のとおり。
① モータの定格値、始動電流値、始動時間、過熱特性等を調べる
② 3Eリレーの動作値、動作時間をモータに合わせてセットする
③ モータの過熱特性、始動電流ならびに3Eリレーの過負荷保護特性をプロットする
④ 保護協調の検討 ・始動電流で誤動作しないか
・3Eリレーの保護曲線はモータの限界曲線(電動機熱特性)の下側か
・3EリレーとMCCB、MCCBとモータなどの協調が図られているか
※正しく協調が図られている例を下左図に、正しく協調が図られていない例を下右図に示す。
(2)欠相保護
欠相状態とは、モータの電源線の断線や接続部のゆるみ
開閉器の接触不良、モータの内部断線などによってモータが単相運転された状態をいう。
この状態になると、モータの線電流の増加と比較して相電流の増加が著しく
巻線の温度上昇が許容値を超えてモータの焼損に至ることがある。
このような場合、過負荷検出ではなく欠相検出によって保護しなければならない。
※軽負荷時には欠相しても過電流といわれるほどの電流が流れないので過負荷検出ができないため。
(3)反相保護
相順が逆だと、モータの回転方向は逆になる。
反相要素は電源の相順を検出し、反相の場合にモータ始動をロックする。
相順検出は、一度正しく設置すれば不要となるので、モータの保護としては副次的な要素だが
負荷の保護などに有効。
モータで想定される故障(事故)とそれを検出するための代表的な異常検出要素
過負荷・拘束+欠相+逆相(反相)保護ができるモータ保護リレーのこと。
代表例として「電子式モータ保護リレー」がある。
1E:過負荷・拘束保護ができるモータ保護リレーで
サーマルリレーや電子式モータ保護リレーがある。
2E:過負荷・拘束+欠相保護ができるモータ保護リレーで
サーマルリレーや電子式モータ保護リレーがある。
4E:3Eの機能に加えてインチング
(モータを始動させては止めるなど始動電流の開閉を頻繁に行うこと)防止機能が加わっている。
https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/15036?site_domain=default
サーマルリレーやモータ保護リレーの保護要素について より引用
モータ保護の目的は次の2つ。
(1) モータ自身の保護(焼損防止)
(2) モータにつながる負荷の被害を最小限にとどめる
※(2)の場合には、モータよりもその負荷を念頭においてモータ・リレーの選定をする必要がある。
誘導電動機の保護対策に対する各種保護機器の検出可否は以下の通り。
埋込型保護リレーは、電動機内蔵したサーミスタの出力を用いて電動機を保護するが
サーミスタを内蔵した電動機は一般的ではない。
そのため、用途の少ない単相電動機を除いた電動機に過負荷、欠相、反相の3つの検出要素(Element)を1つのリレーで保護か可能な3Eリレーが三相誘導電動機の保護には主に使用される。
※漏電、地絡については漏電遮断器などを使用することが一般的。
新電気2019年10月号 「特集保護継電器Q&A」
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/motorprotectiverelay_tg_j_1_2.pdf
オムロン モータ・リレー 技術解説 より一部引用