電圧計についての基礎知識まとめ

電圧計は、電気回路の2点間の電位差(電圧)を測定する機器。
電流計が回路に直列に接続するのとは異なり
電圧計は測定したい2点の間に並列に接続する。

電圧計の動作原理と種類

電圧計には、主にアナログ式とデジタル式の2種類存在する。

アナログ電圧計

多くは、永久磁石可動コイル形の電流計を応用している。

原理

内部に高い抵抗(倍率器)を内蔵した電流計。
回路に並列に接続すると、電圧計の内部に流れる非常に小さな電流を測定し
オームの法則(V=IR)に基づいて電圧値に換算する。
このとき、倍率器の抵抗を切り替えることで、測定レンジを変更できる。

特徴

針の動きから電圧の変化を直感的に捉えやすいのが利点。

デジタル電圧計

原理

回路に並列に接続し、内蔵されたA/Dコンバータ(アナログ・デジタル変換器)で
電圧を直接デジタル信号に変換する。

特徴

読み取り誤差がなく、高精度な測定が可能。
自動で測定レンジを切り替える機能を持つ機種も多い。

なぜ電圧計の内部抵抗は高いのか?


電圧計を正確に使う上で最も重要なのが、内部抵抗が非常に高いこと。
理想的な電圧計の内部抵抗は無限大となる。

電圧計は、回路の電圧を測定するために並列に接続する。
もし内部抵抗が低いと、電圧計のほうに多くの電流が流れてしまい
本来の回路の電流や電圧のバランスを崩してしまう。
高い内部抵抗を持つことで、電圧計に流れる電流を最小限に抑え
測定対象の回路に与える影響を無視できるほど小さくしているため。

電圧計の測定誤差とその要因

電圧計は、その高い内部抵抗にもかかわらず
測定環境や機器の特性によって誤差を生じることがある。

  • 内部抵抗の影響
    電圧計の内部抵抗が低い場合、測定対象の回路と並列に入ることで回路全体の抵抗が変わってしまい
    電圧が正確に測定できなくなることがある。

  • 熱起電力
    異なる金属を接続した接点に温度差があると、わずかな電圧(熱起電力)が発生し
    特に微小な電圧を測定する際の誤差要因となる。

  • 静電結合
    周囲の電界からノイズが混入し、測定値に影響を与えることがある。
    これを防ぐためには、適切なアース接続が重要となる。

その他の種類の電圧計


  • 静電電圧計
    高電圧の測定に用いられる。2つの電極間に働く静電気力(クーロン力)を利用して電圧を測定する。
    消費電力が極めて小さく、直流・交流の両方に対応できるのが特徴。
    また、この駆動トルクは電圧の2乗に比例するため、特に高電圧の測定に適しています。

  • クランプメーター(電圧測定機能)
    電流測定が主であるが、電圧測定機能を備えたものも多い。リード線を端子につなぎ、測定したい2点間に接続して使用します。

静電電圧計の原理と使い方

静電電圧計は、特に高電圧の測定に適した特殊な電圧計。

特徴

  • 非接触測定
    クランプメーターのように直接回路に接続する必要はない。
    ただし、静電気測定器として、測定対象物からの距離が測定値に影響するため
    正しい測定距離を保つ必要がある。

  • 超高入力抵抗
    理想的な静電電圧計は、測定時に電流をほとんど消費しない。
    そのため、入力抵抗が非常に高い(数千MΩ以上)ことが特徴で
    測定対象の回路にほとんど影響を与えずに測定できる。
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