電力広域的運営機関(Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators, Japan)は
日本の電力システムの安定供給と効率的な運用を目的とした組織のこと。
2015年の電力システム改革の一環として設立され、通称「広域機関(OCCTO)」と呼ばれている。
電力系統の広域的な運用調整
全国的な電力系統を管理し、地域を越えた電力融通を調整する。
これにより、ある地域で電力不足が発生した場合でも
他の地域の余剰電力を送電して補うことができ、安定供給を維持する。
24時間365日、全国の電力需給状況をリアルタイムで監視しており
特定の地域で電力不足や過剰供給の兆候が見られる場合
他の地域の電力会社に指示を出して、発電量の調整や電力の融通を促す。
送電線等の整備計画策定
将来の電力需要予測に基づき、送電線や変電所といった電力インフラの整備計画を策定する。
これには、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた送電網の増強も含まれる。
災害時の連携体制構築
地震や台風などの大規模災害時に、電力会社や政府と連携し
迅速な電力復旧に向けた調整を行う。
OCCTOは、日本の電力システムにおけるレフェリーや司令塔のような存在であり
特定の電力会社の利益にとらわれず、中立的な立場から全国の電力系統を監視・調整することで
以下のような効果をもたらしている。
安定供給の確保
地域間の電力融通を円滑にすることで、災害時や需給ひっ迫時にも停電リスクを低減する。
再生可能エネルギーの導入促進
再生可能エネルギーは発電量が天候に左右されやすいという課題があるが
広域的な運用調整によって、余剰電力を効率的に活用し、導入を支援する。
電力小売全面自由化の推進
多数の事業者が市場に参入する中で
公平で透明な取引環境を確保し、競争を促進する。
長期的な供給力確保
再エネ導入拡大と系統増強
再エネの導入が増えるにつれて、特定の地域で電力の供給過剰が起こり
発電を抑制する「出力制御」が課題となっている。
OCCTOは、これに対応するため、地域間連系線を効率的に活用し
全国規模で余剰電力を融通する仕組みを強化している。
また、大規模な系統増強に必要な費用の便益評価を精緻化する検討も進めている。