高圧電気設備のクラックは、設備不良や経年劣化、外部からの物理的要因によって発生し
絶縁性能の低下を引き起こす。
これにより、地絡や短絡といった電気事故につながる恐れがあり
最悪の場合、広範囲にわたる停電(波及事故)を引き起こす可能性がある。
経年劣化
長期間の使用により、絶縁材料が劣化し、クラックが発生する。
特に屋外に設置された設備は、紫外線、雨水、気温変化などの影響を強く受ける。
熱的要因
過電流や異常な放電によって設備内部が過熱すると
絶縁材料の膨張・収縮が繰り返され、クラックが生じやすくなる。
機械的要因
設備への外部からの衝撃や、振動、風圧、積雪などによる応力が加わることで
クラックが発生することがある。
自然劣化(水トリー)
高圧ケーブルの絶縁体に水が浸入し、電気的なストレスが加わることで
木の枝状の劣化(水トリー)が進行し、最終的にクラックや絶縁破壊に至る。
製造不良
絶縁物の成型不良や不純物の混入などが原因で
初期段階からクラックが発生する場合もある。
絶縁性能の低下
クラックから湿気や異物が侵入することで、設備の絶縁性能が低下する。
これにより、地絡や短絡といった事故の直接的な原因となる。
アーク放電
クラックの隙間でアーク放電が発生することがある。
アーク放電は高温であり、設備の破損をさらに進行させ、火災の原因にもなる。
波及事故
自社の設備の事故が電力会社の配電線に影響を及ぼし
他の需要家にも停電を広げてしまう波及事故につながる可能性がある。
設備破損と修理費用
クラックの進行は設備の物理的な破損につながり、高額な修理費用や設備更新費用が発生する可能性がある。
定期的な点検
保安規程に基づいた年次・月次点検を確実に実施し
クラックの有無や機器の状態を目視や超音波診断(ウルトラホン)などで確認する。
早期発見と補修
クラックを発見した場合は、速やかに専門業者に依頼し、補修や交換を行う。
計画的な設備更新
高圧ケーブルや開閉器などは、一般的に推奨される更新時期(15年〜20年程度)を目
計画的に更新を進めることが重要。
特に、経年劣化が進行している設備は、事故を未然に防ぐためにも優先的に更新を検討を設置者に推奨する。