認定キュービクルと推奨キュービクルの違いは
「消防法上の『非常用電源』として使えるかどうか」が大きな違いとなる。
大まかなイメージ
推奨キュービクル
推奨キュービクルは、自家用需要家受変電設備の安全確保及び一般送配電事業者への波及事故を防止するため、(一社)日本電気協会が制定した「キュービクル式高圧受電設備推奨基準」に適合したキュービクルである。
「キュービクル式高圧受電設備推奨基準」への適合は、推奨委員会において審査されている。この審査に合格し、推奨を受けたキュービクル(以下「推奨品」という。)には、その見やすい箇所に所定の推奨銘板が貼付してある。
キュービクル式高圧受電設備推奨基準が、JIS C 4620 (2018) 「キュービクル式高圧受電設備」を踏まえて規定されていることから、推奨品は JIS C 4620 適合品でもあり、優良な高圧受電設備となっている。
2. 認定キュービクル
認定キュービクルは、消防法第17条に定める消防設備等の電源を確保するため、(一社)日本電気協会が制定した「キュービクル式非常電源専用受電設備認定基準」に適合したキュービクルである。
「キュービクル式非常電源専用受電設備認定基準」への適合は、認定委員会において審査されている。この審査に合格し、認定を受けたキュービクル(以下「認定品」という。)には、その見やすい箇所に所定の認定銘板が貼付してある。
キュービクル式非常電源専用受電設備認定基準は、昭和50年5月28日消防庁告示第7号 (改正第8号)「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」及び JIS C 4620 (2018)「キュービクル式高圧受電設備」を踏まえて規定されていることから、認定品は消防法施行規則における非常電源専用受電設備の条件を満たしたものとなっている。
(一社)日本電気協会は、消防法施行規則第31条の5による「登録認定機関」であり、 認定品は消防法施行規則第31条の3の「消防設備等の技術基準」に適合したものと して扱われるため、消防検査の簡略化が可能となる。
| 特徴 | 認定キュービクル | 推奨キュービクル |
| 主な目的 | 「非常用電源」の確保(消防法対応) | 品質の保証、事故防止(高信頼性) |
| 構造の特徴 | 内部に「隔壁(防火の仕切り)」がある | 隔壁はない(一般的な構造) |
| 法的メリット | ・消防検査の簡略化 ・建築物との離隔距離の緩和 | ・建築物との離隔距離の緩和 |
| 価格 | 構造が複雑なため高い** | 認定品よりは安い |
| 審査機関 | 日本電気協会(消防庁の基準に基づく) | 日本電気協会(独自の推奨基準) |
| こんな時に選ぶ | 建物に「非常用電源」が必要な場合 | 信頼性の高い設備を設置したい場合 |
消防庁が定めた厳しい基準(告示第7号・第8号)をクリアした製品のこと。
特徴
内部が耐火パネル(隔壁)で仕切られており
一般の電気がショートして火花が出ても、隣にある「非常用電源回路」には影響が及ばないようになっている。
用途
スプリンクラー、消火栓ポンプ、排煙機など、火災時に動かなければならない設備への
電源供給が必要な建物で使われる。
メリット
本来、非常電源には「専用の防火区画(部屋)」が必要が
このキュービクルを使えば「置くだけで専用室と同じ扱い」になる。
建物の壁から離すべき距離(保有距離)を、通常の3m以上から「1m以上(条件によりさらに短縮可)」に縮めることができる(狭い屋上や敷地でも設置可能)。
日本電気協会が「この製品はJIS規格よりもさらに厳しく審査した、安全で良質な製品」と推奨しているもの。
特徴
認定品のような「隔壁」などの特殊構造はないが
通常の製品よりも耐熱性や耐候性などの品質基準が高く設定されている。
主な用途
非常用電源の確保は不要だが、「波及事故」などのトラブルを確実に防ぎたい
信頼性を重視する工場やビルで使われる。
メリット
認定品と同様に、建物の壁からの離隔距離を「1m以上」に緩和できるケースがほとんど
※自治体の火災予防条例による
通常の汎用品(非認定・非推奨)を選ぶより、電力会社や保安協会からの信頼が得られやすく
設置時の審査がスムーズになることがある。
建築設計や設備設計の段階で「消防同意」が必要な建物であれば
自動的に「認定キュービクル」が指定されることが多い。
そうでない通常の用途であれば、コストと信頼性のバランスを見て
「推奨キュービクル」か「標準品」を選ぶことになる。
日本電気技術規格委員会
高圧受電設備規定 p409 推奨キュービクルと認定キュービクルより一部引用