「間欠漏電(かんけつろうでん)」とは
時々発生しては消えてしまう、厄介なタイプの漏電のこと。

電気工事士や管理技術者にとって、これほど特定が難しい現象である。
なぜなら、調査に行ったタイミングでは「正常」に戻っていることが多いから。

間欠漏電についての概略

通常の漏電の特徴

配線の被覆が破れたり機器が故障したりして、電気が常に漏れている状態となっている。
この場合、漏電ブレーカーを上げてもすぐにまた落ちるため、原因箇所(回路)の特定は比較的容易。

間欠漏電の特徴

  • いつの間にか直っている
    ブレーカーが落ちた後、再度上げると問題なく使えてしまう。
  • 再現性がない
    数時間後、あるいは数日後、数ヶ月後に忘れた頃にまた落ちる。
  • 調査時は正常
    業者が来て検査しても「異常なし」と判断されやすい。

間欠漏電の主な原因

雨や湿気(天候要因)

  • 雨の日だけ漏電する
    屋外のコンセント、街灯、エアコンの室外機などに雨水が侵入し、漏電する。
    雨が止んで乾くと、絶縁状態が回復し、ブレーカーが落ちなくなる。
  • 結露
    寒暖差がある朝方などに配管内で結露が発生し、水滴が電線に触れて漏電する。

機器の動作サイクル(機器要因)

常に通電している部分ではなく、機器が特定の動作をした時だけ電気が流れる部分での漏電。

  • 冷蔵庫や自販機の霜取り(デフロスト)
    1日に数回、ヒーターが作動して霜を取る。
    このヒーター部分が劣化していると、そのタイマーが作動した瞬間だけ漏電し、終わると正常に戻る。
  • エアコンのコンプレッサー
    設定温度になりコンプレッサーが動き出した瞬間だけ漏電することがある。

振動や熱膨張

  • 接触不良
    電線の被覆がわずかに傷ついており、洗濯機の振動や
    トラックが通った振動などで一瞬だけ金属部分に触れるケース。

間欠漏電の特定が難しい理由

電気工事士は通常、「絶縁抵抗計(メガー)」という道具を使って調査するが
間欠漏電の場合、以下のようなことが起こり特定できない場合が多い。

  1. 漏電発生: ブレーカーが落ちる。
  2. 業者が到着: 1時間後。その間に雨が止んで乾いたり、冷蔵庫の霜取り運転が終わったりしている。
  3. 測定: 「絶縁抵抗値は正常です。悪いところは見当たりません」となる。
  4. 再発: 翌日の同じ時間や、次の雨の日にまた落ちる。

間欠漏電を見つけるための対策

もしご自宅や管理物件で「時々ブレーカーが落ちる」現象が起きている場合、
以下の手順で絞り込んでいく。

ステップ1:記録をつける

いつ落ちたかの共通点を見つけること。

  • 日時と天気: 雨が降っていたか?
  • 時間帯: 毎日同じ時間か?(タイマー機能を持つ機器が怪しい)
  • 使用状況: 洗濯機やエアコンを使った瞬間か?

ステップ2:怪しい機器の切り離し

屋外の防水コンセントからプラグを抜いたり
古い家電(特に水回りや冷蔵庫)のコンセントを別の回路に移してみたりして、様子を見る。

ステップ3:「リーククランプメーター」での監視

通常の絶縁抵抗測定では見つからないため、データロガーを用いて
「漏れ電流(Io)の常時監視」を行う。

データロガー(記録計):いつ漏れ電流が跳ね上がったかを数日間記録する機能を持つ測定機
上記写真参照

まとめ

間欠漏電は一度で原因が特定できないことが多く
解決に時間がかかるトラブルとなる。

「ブレーカーを上げれば使えるから」といって放置するのは危険の考えを持つこと。
漏電遮断器が動作しているということは、実際に電気が漏れており
状況が悪化して最悪の場合、感電事故や火災につながる恐れがある。

頻繁にブレーカーが落ちる場合は
すぐに電気保安協会や電気工事店に相談することを推奨される。

名無し管理事務所