「臨時点検」という言葉はさまざまなところで使用されているが、自家用電気設備の保安業務における臨時点検は
事故・災害の発生時または予防のために事前に実施する点検であって、保安規程に定める日常・月次・年次・工事期間中の各巡視・点検および測定・試験以外の業務
と定義づけることができる。
→保安規程に記載した内容以外の点検業務のすべてが臨時点検として位置付けられることになる。
具体的には以下のように整理できる。
●電気故障(事故)発生に伴う臨時点検
●自然災害などに伴う臨時点検
① 停電範囲の把握
電気設備の停電は
●受電設備における低圧配電盤の配線用遮 断器がトリップしている場合
●電灯また は動力変圧器用のヒューズが溶断している場合
●自家用構内のすべてが停電している場合」
など状況によって異なる。
→自家用構内・外そして高・低圧回路のどちらで停電が発生しているのか
範囲を把握してから点検作業を開始することが重要となる。
② 検電の実施
停電範囲を把握したら、検電器による検電を実施し、実質的な停電範囲の把握を行う。
※検電を実施する場合は、高圧絶縁ゴム手袋などの絶縁用保護具を装着してから作業すること。
また、部分的な停電の場合は活線部分へ接近しないように特に注意すること。
③ 誤送電防止措置(作業の安全確保)
事故原因の究明を行う前に、「労働安全衛生規則第339条(停電作業を行なう場合の措置)」に
定められている以下の停電作業を行うことで、作業の安全を確保する。
④ 事故原因を究明するための点検
事故原因の究明に当たって重要なのは、
事故が発生している機器と発生箇所を特定するかとなる。
目視による外観点検
最初に実施する点検は、目視による「外観点検」となる。
地絡痕などは目視によって発見できる場合も多く
受電設備の裏面や側面といった表面から見えにくい場所を丁寧に点検する必要がある。
高圧回路における停電事故の原因として、ネズミやヘビなどの小動物が受電設備に侵入し
高圧の充電部分に接触したことによるものも多く発生しているため
小動物が受電設備に侵入した痕跡がないかを確認することも目視点検のポイントとなる。
絶縁抵抗測定
絶縁抵抗測定は、地絡などの事故点を発見するのに最も有効な手段であり
可能な限りの切り離し(離線)による高圧機器の切り分けを行うことで、早期に事故点を発見することができる。
低圧絶縁抵抗計ではなく10kVを測定できる絶縁抵抗計を用いて高圧機器の絶縁低下が推奨される。
10kVの絶縁抵抗計による絶縁抵抗測定時
電圧を上昇させる過程においてキック現象が発生する場合は
高圧機器内部または高圧ケーブルの絶縁低下が可能性として考えられる。
そのため、電圧上昇のステップごとにキック現象の有無を確認しながら
電圧を上昇させるように心掛けるとともに、キック現象がでたら速やかに測定を中止すること。
⑤ 応急措置
前述の点検によって事故原因として特定された高圧機器は
新品に取り替えるなどして健全な状態に戻してから受電する。
応急措置を実施して送電を再開する際の重要なポイントは
事故点の切り離しに加え、高圧回路に設置されている保護装置の動作を確保すること。
保護継電器に電源供給ができない場合や、地絡継電器 0r 過電流保護継電器の動作が確保できないときは
応急措置を行ってからの送電再開はしないこと。(波及事故防止)
新電気2021年6月号
特集 臨時点検マニュアル~ 電気事故・災害対応と対策 ~ より一部引用