労働安全衛生規則第339条は、電気回路の点検や修理など、「停電させて行う作業(停電作業)」において
作業者の感電事故を確実に防ぐためのルールを定めたもの。
この条文では、単に「スイッチを切る」だけでなく
「意図しない送電」や「残留電荷」による事故を防ぐための5つのステップが義務付けられている。
下記の規定に基づき、事業者は以下の措置を講じなければならない。
電路の開放(ブレーカー等の遮断)
作業を行う電路の供給源となる開閉器(ブレーカーや断路器)を確実に開放する。
誤操作の防止(ロックアウト・タグアウト)
作業中に第三者が誤ってスイッチを入れてしまわないよう
以下のいずれかの措置を講じる必要がある。
残留電荷の放電
コンデンサや長いケーブルを含む回路では、スイッチを切った後も電気(残留電荷)が溜まっていることがある。
これによる感電を防ぐため、安全な方法で放電させる必要がある。
検電器による停電の確認
「スイッチを切ったはず」という思い込みによる事故を防ぐため
検電器を用いて、作業対象の電路が無電圧であることを必ず確認すること。
短絡接地器具の取り付け(高圧・特別高圧の場合)
高圧以上の電路で作業を行う場合は
万が一の誤送電や他回路からの誘導による電圧発生に備え
電路を短絡させ接地しておくことが義務付けられている。
条文の構成は大きく分けて以下の2項目になっている。
実務上の注意点
手順の遵守
「検電」と「短絡接地」は感電を防ぐ最も重要な対策となる。
検電器自体が故障していないか、使用直前に生きた回路で動作確認を行うことを怠らないこと。
複数人作業の徹底
複数のグループが同じ系統で作業する場合
それぞれのグループが個別にロックや標識を設置することが推奨される。
変圧器の作業では、高圧側だけでなく
低圧側からの逆送電への警戒を行うこと。
遮断器本体を盤から引き出して点検する場合、独自の危険箇所が存在する。
第339条(停電作業)を補完する、実務上重要な条文は以下の通り。
| 条文番号 | 内容の要約 | 第339条との関係 |
| 第340条 | 活線作業の制限 | 停電が困難で活線状態で作業する場合、絶縁用保護具(ゴム手袋等)の使用を義務付け。 |
| 第341条 | 高圧活線近接作業 | 停電作業中であっても、近傍に充電部がある場合は絶縁障壁の設置や監視人の配置が必要。 |
| 第344条 | 絶縁用保護具等の点検 | 停電確認に使う検電器や、短絡接地を行う際に使う絶縁棒が正常か、使用前に点検すること。 |
| 第347条 | 停電作業の指揮 | 作業指揮者を指名し、手順の決定、開閉器の操作管理、短絡接地の確認を統括させること。 |
これら複数の条文を確実に遵守するため
現場では「停電操作手順書」を作成する。
太陽光発電設備などが接続されている系統では、電力会社側を停電させてもパワーコンディショナから逆送電されるリスクがあるため、解列確認はより慎重に行う必要がある。