短絡についての基礎知識まとめ

短絡についての概略

上図のような「電気回路の導体間が何らかの原因によって、低抵抗、低インピーダンスで結合された状態」を
短絡という。
電路の線間が、抵抗が少ない状態で接触した現象であるので
短絡電流はバックパワーの大きさにより数千アンペアから数万アンペアに達する場合がある。
短絡事故が起きると機器に定格以上の大電流が流れるため
機器の損傷(絶縁電線の被覆や変圧器の焼損、遮断器の爆発等)が大きくなる。

短絡についての定義

過電流の中でも最も大きな電流は短絡電流であり、これ以上の電流は流れることはない。
このため、短絡電流が流れた場合を想定して保護方式を検討する必要がある。

JEM 1115(配電盤・制御盤・制御装置の用語及び文字記号)では
次の2通りの表現が使用されている。

●電気回路の2点間を極めてインピーダンスの低い導体で接続すること。
●電位差のある2点間が直接または低インピーダンスを通じて、故意または事故によって導通すること。

短絡の主な種類

短絡には線間が短絡する単相短絡と、三相すべてが短絡する三相短絡があるが
通常の電気回路の場合は三相短絡のほうが電流値は大きくなる。

また、2点間のインピーダンスがゼロで短絡した場合を「完全短絡」といい
このとき短絡電流は最大となる。

図:電力系統図

電力系統は上図のように、多数の発電機や変圧器、電線路で構成されている。
このような電力系統で短絡が発生した場合
短絡電流の供給源は負荷電流の供給源と同じく系統に接続されている発電機となる。
そして、三相完全短絡の場合この電流を制限するものは
●発電機自身のインピーダンス
●変圧器のインピーダンス
●電線路のインピーダンス
になる。
これらのインピーダンスは非常に小さいので、短絡電流も非常に大きくなる。

短絡電流の計算には、オーム法、単位法、%インピーダンス法の3種類があるが
通常は%インピーダンス法が使用される。これは、電力系統が多数の発電機や変圧器で構成されており
電圧もさまざまなので、電圧の変換の必要がない%インピーダンス法が適しているため。

短絡電流の計算方法

図:お客さま受電地点短絡電流計算書例

短絡電流の計算を行うには電力系統のすべてのインピーダンスの値が必要だが
自家用需要家では受電点から電源側の電源系統は不明なため
電源側のインピーダンスは電力会社に依頼して計算してもらう必要がある。

電力会社からは担当エリアへのウェブや電話での問い合わせで
計算結果を記した「お客さま受電地点短絡電流計算書」などの名称の書類をもらうことができる。
計算書には
●電力会社の変電所の継電器の整定値
●需要家までの配電線のインピーダンス
●受電地点の短絡電流
●短絡容量
などが記載されている。

※電力会社の変電所や配電線の改良工事や切り替えなどがあると線路のインピーダンスが変わることが
あるので、定期的な確認が必要となる。

短絡事故による災害

短絡による非常に大きな短絡電流によってジュール熱アーク放電が発生すると
電線の溶断・焼損や機器の破損、取扱者の電気火傷など設備災害や人身災害が発生する。

設備災害と人身災害

  • ジュール熱による電線溶断や絶縁電線の絶縁被覆の焼損
  • 発電機や変圧器の焼損や遮断器の爆発
  • アークによる電気火傷

短絡の発生原因

  • 電力設備の製作不良や施工ミス
  • 絶縁物の自然劣化
  • 断路器の操作ミス

短絡事故防止対策

遮断容量の大きい遮断器による短絡保護

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