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三相短絡についての備忘録

高圧受電設備において、三相短絡は最も重大で破壊力の
大きい電気事故(地絡事故と並ぶ主要な事故)の一つ。

目次

三相短絡についての概略

三相短絡とは、高圧受電設備の三相交流回路(R相・S相・T相)において
3つの電線(または相)が負荷(抵抗)を経由せずに
極めて低いインピーダンス(抵抗)で直接つながってしまう現象
のこと。

通常、電気は変圧器やモーターなどの「負荷」を通ることで電流の大きさが制限されているが
短絡が発生すると負荷がバイパスされ、電源(電力会社側)のインピーダンスと
電線路の抵抗だけで電流が決まるようになる。

オームの法則に基づく基本式

高圧受電設備において Z は非常に小さいため
通常の定格電流の数十倍から数百倍、時には数万アンペア(kA単位)に達する
激しい「短絡電流」が流れることになる。

三相短絡の主な発生原因

高圧受電設備(キュービクルなど)における三相短絡は、主に以下のような理由で発生する。

作業員の置き忘れ・誤操作(人的ミス)

  • 停電作業終了後、接地器具(アース線)を外線に接続したまま(または短絡器具をつけたまま)
    誤って送電してしまった。
  • 検電や工具(スパナ等)の落下により、三相の充電部に一斉に接触した。

小動物の侵入

ネズミ、ヘビ、カラスなどがキュービクル内に侵入し、三相のブスバー(銅帯)間に同時に接触した。

絶縁破壊の進展

機器の経年劣化や塩害・湿気などにより、まず1線地絡や線間短絡(二相短絡)が発生し
それが一瞬にして三相すべてを巻き込む短絡に発展した。

三相短絡が及ぼす影響

三相短絡は、発生した瞬間に以下のような莫大なエネルギーを放出するため
設備や人体に致命的なダメージを与える。

① 熱的損傷(ジュール熱)

電流の2乗に比例する熱(Q = I^2Rt)が発生する。
数万アンペアの電流が流れると、電線やブスバーは一瞬で溶断(溶けて千切れる)し
周囲の絶縁油や樹脂が気化・爆発して火災を引き起こす。

② 電磁機械力(電磁力)

並行する電線間に流れる大電流により、強力な電磁力(反発力や吸引力)が発生する。
これにより、ブスバーが変形したり、支持するがいし(碍子)が破壊されたりする。

③ アーク放電と人体への危険

短絡の瞬間、数千度〜1万度以上に達する「アーク」が発生する。
もし近くに作業員がいた場合、重度の熱傷(大火傷)を負うだけでなく
爆風による負傷や、最悪の場合、死亡事故に至る。

④ 電力系統への影響(波及事故)

受電設備内の遮断器が瞬時に事故を切り離せないと、
力会社側の配電用変電所の遮断器が作動してしまう。
これにより、自社だけでなく周辺の地域一帯を巻き込む停電(波及事故)に発展し
莫大な損害賠償が発生するリスクがある。

三相短絡に対する保護対策

この恐ろしい事故を防ぎ、万が一発生した場合に変電所を巻き込まない(保護協調をとる)ために
高圧受電設備には以下の対策が施されている。

① 過電流継電器(OCR)と遮断器(CB)の連携

三相短絡の高圧受電設備主遮断装置として
過電流継電器(OCR)真空遮断器(VCB)などの組み合わせが必須となる。

短絡電流を検知したOCRが、瞬時要素(大電流に対して一瞬で動作する機能)によって
数サイクルで遮断器にトリップ信号を送り、事故電流を遮断する。

② 高圧限流ヒューズ(PF)の設置

契約電力が小さい需要家(一般に300kW以下など)では
高圧気中負荷開閉器(LBS)高圧限流ヒューズ(PF)を組み合わせた「PF-S形」がよく使われる。

ヒューズは短絡電流が最大値に達する前に
自らが溶断(限流作用)することで事故を高速遮断し、設備を保護する。

③ 機器の短絡強度と遮断容量の選定

万が一、三相短絡が起きても遮断器自体が爆発しないよう
その地点で想定される最大の短絡電流(%インピーダンス法などで計算)を上回る「定格遮断容量(kA)」を持った遮断器を選定しておく必要がある。

④ 保安管理・点検の徹底

  • 小動物対策(キュービクルの隙間の閉塞、パテ埋め)。
  • 停電作業時の「接地器具の取り外し忘れ防止」のチェックリスト化、指差呼称の徹底。
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