電気使用場所における低圧電路の点検と配線用遮断器についての備忘録

電気使用場所の低圧電路と点検の視点

電気使用場所とは、主に低圧設備を使って操業を行う場所であり
事業体の活動拠点となるため設備保全重要となる。
高圧受変電設備で変成された低圧の電気によって、各使用設備が稼働する。

電灯回路と動力回路の概要

オフィスビルなどを想定した場合
低圧電路は主に以下の2つの回路に大別される。

電灯回路

100V定格の電気機械器具が接続される。
電灯用変圧器で単相3線式100V/200Vに降圧され、電灯分電盤まで3線で配線されるのが一般的。
最近では漏電事故を防ぐため
分電盤の開閉器に過電流遮断機構付き漏電遮断器を使用することが多くなっている。

動力回路

大容量の機械では400V定格もあるが、ほとんどの場合は200V定格の機器が使用され
動力用変圧器から三相3線式200Vで供給される。
最近は設備の自動制御を行うため、制御盤を介して電気を供給する形態が増えている。

主な点検項目と視点

点検にあたっては、「異常のない状態で稼働できる設備になっているか」という視点が不可欠となる。
各部位の主な点検項目は以下の通り。

  • 配線関係
    電線・ケーブルの過熱、異臭、変色、被覆の損傷の有無。配管の破損や亀裂、変形など。
  • 配電盤・分電盤関係
    開閉器や遮断器の破損、過熱、異臭、端子接続部の状態。箱体の破損や盤内結露、接地線のゆるみなど。
  • 照明・電動機関係
    器具の破損や過熱、異常振動の有無、負荷電流の確認。

測定試験の実施と絶縁抵抗測定時の留意事項

目視点検に加えて
計器を用いた管理測定が重要になる。

電流測定と絶縁抵抗の基準値

電流測定

図:負荷電流と漏れ電流の測定方法

操業の基礎的データとして、クランプメータを用いて負荷電流や漏れ電流の測定を実施する。
漏れ電流を測定する場合は、回路の全線をクランプさせることで往復の電流が相殺され
漏れ電流のみが指示される。

絶縁抵抗測定

図:対地絶縁抵抗測定例

電気設備技術基準(第58条)により、維持すべき絶縁抵抗値が定められている。
(下記表参照)
通常停電させて実施する定期点検の機会に測定を行う。
絶縁抵抗値は外気温や湿度で変動するため、相当な余裕をもって基準値をクリアさせることが望まれる。

電路の使用電圧の区分絶縁抵抗値 [MΩ]
対地電圧 150V以下0.1以上
対地電圧 150Vを超え300V以下0.2以上
使用電圧 300Vを超えるもの0.4以上

配線用遮断器の仕組みと実務におけるポイント

低圧電路には短絡等の過電流から配線を保護するため
配線用遮断器が施設される。

遮断器の主要構成と保護協調

配線用遮断器は主に以下の機構で構成されている。

  • 開閉機構: 引外し力を蓄えるばねを持ったトグルリンク機構によって接点を開閉する。
  • 接触子: 回路を開閉する接点機構。
  • 消弧装置: 電流遮断時に発生するアークを消滅させる。
  • 過電流引外し装置: 過電流に応動してトリップ(引外し)させる。

また、配電盤から負荷に至るまで配線用遮断器はすべて直列に接続されているため
事故時に停電範囲を最小限に抑えるための保護協調がとられているかチェックしておく必要がある。

参考資料

  • 経済産業省『電気設備に関する技術基準を定める省令』第58条
  • 一般社団法人 日本電気協会『内線規程』
  • 一般社団法人 日本電気協会『自家用電気工作物保安管理規程』
  • 各種メーカー技術資料(配線用遮断器の構造・保護協調について)
名無し管理事務所