電気設備の要の変電所で重要な役割を果たす遮断器は
日常的な電路の開閉操作だけでなく、短絡や地絡といった異常発生時に
大電流を安全かつ確実に遮断し、波及事故を防ぐという役割を持つ。
変電所には、短絡・地絡故障時に電路を遮断するため
あるいは電路の開閉操作を行うために遮断器が施設されている。
遮断器は、大電流を遮断する際に発生する
「アーク」をいかに素早く消滅させるか(消弧原理)によって
いくつかの種類に分類される。
代表的な遮断器の種類と特徴
ガス遮断器 (GCB)
図:ガス遮断器 (GCB)の構造
油遮断器 (OCB)
左図:タンク型遮断器の構造図 右図:碍子型遮断器の構造図
空気遮断器 (ABB)
図:空気遮断器の構造図
真空遮断器 (VCB)
図:真空遮断器の構造図
磁気遮断器 (MBB)
図:磁気遮断器の構造図
| 種類 | 略称 | 消弧媒質 | 主な特徴・用途 |
| ガス遮断器 | GCB | SF6ガス | 遮断性能大、小型、低騒音。幅広い電圧で使用。 |
| 真空遮断器 | VCB | 高真空 | 小型軽量、保守容易(規定回数まで点検不要)、中・高圧で主流。 |
| 空気遮断器 | ABB | 圧縮空気 | 火災の危険なし。ただし開閉時の騒音大。 |
| 油遮断器 | OCB | 絶縁油 | 過去の主流。火災リスク等により現在は減少傾向。 |
| 磁気遮断器 | MBB | 大気(磁界) | 磁界によりアークを引き伸ばす。小電流時は空気吹き付けを併用。 |
GCB(ガス遮断器)とSF6ガスの環境問題
GCBは非常に優れた性能を持つが
消弧媒質として使用されるSF6(六フッ化硫黄)ガスは
地球温暖化係数がCO2の2万倍以上と非常に高いという問題がある。
近年では環境負荷低減の観点から、大気由来のガス(ドライエアなど)を
使用した「脱SF6ガス遮断器」の開発と導入が進められている。
実務においても、ガス圧力の日常点検はもちろんのこと、微小なガス漏れを見逃さない慎重な管理が求められる。
VCB(真空遮断器)の開閉サージ対策
VCBは中高圧配電盤において現在の主流だが、その強力な消弧能力ゆえに
電流を強制的に遮断してしまう「電流裁断現象」を起こしやすく
それに伴って高い開閉サージ電圧が発生することがある。
このサージが変圧器やモータなどの絶縁を破壊する恐れがあるため
実務ではサージ吸収器(SA:サージアブソーバ)を併設して機器を
保護するのが一般的な設計基準となっている。
OCBやABBの更新計画
OCB(油遮断器)はPCB含有のリスクや火災リスク
ABB(空気遮断器)はコンプレッサーのメンテナンス負担や騒音の問題から
高経年化した設備を中心にVCBやGCBへの更新が強く推奨されている。
保安管理業務においては、これらの旧型機器の耐用年数を見極め
適切なタイミングで更新提案を行うことが重要となる。
『電気設備技術基準とその解釈』および『内線規程』
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)
環境省・経済産業省「微量PCB含有電気工作物の処理に関するガイドライン」
三菱電機・富士電機・東芝・日立産機システム・明電舎などの高圧受配電機器カタログおよび技術報