変電所における各種遮断器についての基礎知識まとめ

変電所における遮断器の概略

電気設備の要の変電所で重要な役割を果たす遮断器
日常的な電路の開閉操作だけでなく、短絡地絡といった異常発生時に
大電流を安全かつ確実に遮断し、波及事故を防ぐという役割を持つ。

変電所には、短絡・地絡故障時に電路を遮断するため
あるいは電路の開閉操作を行うために遮断器が施設されている。

遮断器は、大電流を遮断する際に発生する
アーク」をいかに素早く消滅させるか(消弧原理)によって
いくつかの種類に分類される。

代表的な遮断器の種類と特徴

ガス遮断器 (GCB)

図:ガス遮断器 (GCB)の構造

  • 消弧媒質として、絶縁特性に優れたSF6ガスを使用する。
  • 開放時に可動電極が動くことで、アークにSF6ガスを吹き付けて消弧する仕組み。
  • 遮断性能が高く、接触子の損耗が少ないうえ、火災の恐れがない。
  • 開閉時の騒音が小さく、据付面積も小さくて済む。
  • SF6ガスは電流ゼロ点近傍で強い消弧力を示し
    電流さい断を起こしにくく絶縁回復が極めて早い。
    6.6 [kV] から 500 [kV] まで幅広い電圧階級で使用されている。

油遮断器 (OCB)

左図:タンク型遮断器の構造図 右図:碍子型遮断器の構造図

  • 油中に消弧室を持ち、アークエネルギーによる油の分解ガス圧やピストン力で油流を吹き付けて消弧する。
  • タンク形(3.3 [kV]〜275 [kV])とがいし形(6.6 [kV]〜154 [kV])がある。
  • 火災のリスクや保守の手間などから、現在は使用されることは少ない。

空気遮断器 (ABB)

図:空気遮断器の構造図

  • 0.5〜6 [MPa] 程度の圧縮空気を遮断部に吹き付けて消弧する他力形の遮断器。
  • 高電圧用では多重切り遮断としたり
    抵抗遮断部を設けて再起電圧を抑制したりして性能を向上させている。
  • 火災の危険がなく保守点検も容易だが、操作時の騒音が大きいため防音対策が必要となる。
    22 [kV]〜500 [kV] で用いられる。

真空遮断器 (VCB)

図:真空遮断器の構造図

  • 高真空容器内に遮断部が収納されており
    高真空の絶縁性とアーク遮断性を利用する。
  • 遮断性能に優れ、小型軽量で火災の心配がない。
  • 規定遮断回数までは点検が不要という保守性の高さが魅力で
    3.3〜154 [kV] まで広く普及している。

磁気遮断器 (MBB)

図:磁気遮断器の構造図

  • アークと直角方向に磁界を加え
    アークシュート内にアークを押し込み、引き伸ばして冷却・消弧する。
  • 小電流時には磁界が弱くなるため
    空気吹き付けピストンを連動させて消弧を助ける機構を持っている。

遮断器の比較表

種類略称消弧媒質主な特徴・用途
ガス遮断器GCBSF6ガス遮断性能大、小型、低騒音。幅広い電圧で使用。
真空遮断器VCB高真空小型軽量、保守容易(規定回数まで点検不要)、中・高圧で主流。
空気遮断器ABB圧縮空気火災の危険なし。ただし開閉時の騒音大。
油遮断器OCB絶縁油過去の主流。火災リスク等により現在は減少傾向。
磁気遮断器MBB大気(磁界)磁界によりアークを引き伸ばす。小電流時は空気吹き付けを併用。

実務におけるポイント

GCB(ガス遮断器)とSF6ガスの環境問題

GCBは非常に優れた性能を持つが
消弧媒質として使用されるSF6(六フッ化硫黄)ガスは
地球温暖化係数がCO2の2万倍以上と非常に高いという問題がある。

近年では環境負荷低減の観点から、大気由来のガス(ドライエアなど)を
使用した「脱SF6ガス遮断器」の開発と導入が進められている。
実務においても、ガス圧力の日常点検はもちろんのこと、微小なガス漏れを見逃さない慎重な管理が求められる。

VCB(真空遮断器)の開閉サージ対策

VCBは中高圧配電盤において現在の主流だが、その強力な消弧能力ゆえに
電流を強制的に遮断してしまう「電流裁断現象」を起こしやすく
それに伴って高い開閉サージ電圧が発生することがある。

このサージが変圧器やモータなどの絶縁を破壊する恐れがあるため
実務ではサージ吸収器(SA:サージアブソーバ)を併設して機器を
保護するのが一般的な設計基準となっている。

OCBやABBの更新計画

OCB(油遮断器)はPCB含有のリスクや火災リスク
ABB(空気遮断器)はコンプレッサーのメンテナンス負担や騒音の問題から
高経年化した設備を中心にVCBやGCBへの更新が強く推奨されている。
保安管理業務においては、これらの旧型機器の耐用年数を見極め
適切なタイミングで更新提案を行うことが重要となる。

参考資料

『電気設備技術基準とその解釈』および『内線規程』

一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)

環境省・経済産業省「微量PCB含有電気工作物の処理に関するガイドライン」

三菱電機・富士電機・東芝・日立産機システム・明電舎などの高圧受配電機器カタログおよび技術報

名無し管理事務所