6.6kV高圧CVケーブルの種類
ビニル外装ケーブル(CV)は,架橋ポリエチレン絶縁ビニル外装ケーブルのことで
一般にCVケーブルと呼ばれる。
主な種類として単心,2心,3心及び単心ケーブルを3本より合わせたトリプレックス型ケーブル等がある。
近年は,トリプレックス型ケーブル(CVT)がよく使用される。
6.6kV高圧CVケーブルの構造
左図:6kV CVケーブル(3心一括シース型)右図:6kV CVTケーブル(トリプレックス型)
上図それぞれの断面図を示す。
CVケーブルは導電部である導体を中心に、電界を等電位にするために導体
半導電性のテープで均一に巻いてある。次に架橋ポリエチレンの絶縁層が
6kVの場合3.5〜4 mmの厚さで絶縁される。
絶縁層の表面には半導電性のテープが均一に巻かれ(外部)
さらにその上には遮へい銅テープが巻いてある。
単心ケーブルは遮へい銅テープの上にゴム引布テープ等で巻き、ビニルシースを施す。
3心ケーブルの場合には介在ジュートを挿入して全体を円形にしてゴム引布テープ等で巻き
ビニルシースを施す。
トリプレックス型ケーブルは単心ケーブルを3本より合わせている構造となる。
高圧CVケーブルの許容電流は
導体の太さ(公称断面積)だけでなく、どのように布設されるか(布設条件)によって大きく変動する。
ここでは、 6600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニル外装ケーブルの許容電流をもとに説明していく。
主な布設条件と基底温度
ケーブルの発熱をいかに逃がすか(放熱性)が許容電流を左右するため
環境温度の基準である「基底温度」が以下のように設定されている。
空中、暗きょ布設(基底温度:40℃)
ラック配線やピット内など、空気に触れている状態。
日本の夏場の気温などを考慮し、高めの40℃が基準とされている。
直接埋設布設(基底温度:25℃)
土の中に直接ケーブルを埋める方法。
土壌への熱伝導が良いため、放熱しやすく許容電流は大きめになる。
管路引き入れ布設(基底温度:25℃)
地中等の管(電線管など)にケーブルを引き込む方法。
管内に空気が滞留して熱がこもりやすいため
同じ地中環境でも直接埋設より許容電流は小さくなる。
導体温度の限界
CVケーブルの最高許容温度(導体温度)は90℃となる。
これ以上の温度で連続使用すると、絶縁体である架橋ポリエチレンの劣化が急激に進み
絶縁破壊の原因となる。
同じ38mm²の3心ケーブルでも
布設方法によって流せる電流値は以下のように異なる。
| 布設条件 | 許容電流 | 備考 |
| 空中、暗きょ | 145 A | 基準となる放熱環境 |
| 直接埋設 | 160 A | 土壌への放熱が良好で最大 |
| 管路引き入れ | 110 A | 管内に熱がこもるため最小 |
このように、設計時に「どのルートをどう通るか」を把握していないと
大きな選定ミスにつながるため注意が必要となる。
| 布設条件 | 空中,暗きょ布設 | 空中,暗きょ布設 | 直接埋設布設 | 直接埋設布設 | 管路引き入れ布設 | 管路引き入れ布設 | 管路引き入れ布設 |
| 心数 / 種類 | 3心 | トリプレックス | 3心 | トリプレックス | 3心 | 単心 | トリプレックス |
| 条数・布設方式 | 1条布設 | 1条布設 | 1条布設 | 1条布設 | 4孔3条布設 | 6孔6条布設 | 4孔3条布設 |
| 公称断面積 [mm²] | |||||||
| 8 | 61 | — | 70 | — | 49 | 68 | — |
| 14 | 83 | — | 90 | — | 66 | 90 | — |
| 22 | 105 | 120 | 120 | 135 | 84 | 115 | 90 |
| 38 | 145 | 170 | 160 | 180 | 110 | 160 | 120 |
| 60 | 195 | 225 | 210 | 235 | 140 | 205 | 155 |
| 100 | 265 | 310 | 280 | 310 | 190 | 270 | 205 |
| 150 | 345 | 405 | 350 | 390 | 235 | 335 | 255 |
| 200 | 410 | 485 | 405 | 450 | 275 | 395 | 295 |
| 250 | 470 | 560 | 425 | 510 | 310 | 440 | 340 |
| 325 | 550 | 660 | 525 | 585 | 350 | 510 | 390 |
| 基底温度 | 40°C | 40°C | 25°C | 25°C | 25°C | 25°C | 25°C |
| 導体温度 | 90°C | 90°C | 90°C | 90°C | 90°C | 90°C | 90°C |
管路引き入れ布設に関する注意ポイント
『管路引き入れ布設での4孔3条とは、4孔のある管路のうち3孔を使用し、1孔につき1条(本)のケーブルを3孔布設する』について管路が複数集まっている環境(多条布設)では、他の管からの熱の影響(熱干渉)を受けるため
単独で管路を埋設するよりもさらに熱が逃げにくくなりる。
そのため「4つの穴がある管路群のうち、3つを使ってケーブルを通した場合」という
具体的なワーストケースに近い条件を想定して安全を担保している。
JCS規格の確認と最新カタログの参照
許容電流は日本電線工業会規格(JCS)に基づいているが
実務においては規格が更新されたり、各電線メーカーによって独自の仕様が追加されている場合がある。
設計の最終段階では、必ず採用するメーカーの最新カタログにて許容電流値や条件表を確認することが鉄則となる。
トリプレックス(CVT)ケーブルの優位性
近年、高圧受電設備の引き込みケーブルとしては3心(3C)ケーブルよりも
単心を3本より合わせたトリプレックスケーブル(CVT)が主流になっている。
上記表のように、例えば38mm²の空中布設において、3心は「145A」だが
トリプレックスは「170A」と大きくなっている。
これは、CVTの方が表面積が大きく放熱性に優れているためとなる。
実務上も、許容電流の余裕度向上や、端末処理のしやすさからCVTが好まれる。
周囲温度による低減率(電流減少係数)の適用
表の許容電流は、あくまで「基底温度(空中40℃/地中25℃)」の前提となる。
もし、ボイラー室の近くや夏場に異常な高温になる盤内など
基底温度を超える環境に敷設する場合は、規定の電流減少係数(低減率)を掛けて
許容電流を下げて計算する必要がある。
短絡電流耐量の検討
許容電流は「連続して流し続けられる電流」だが
実務のケーブル選定では「事故時に大きな電流(短絡電流)が流れても
保護継電器(リレー)が遮断器をトリップさせるまでの間、ケーブルが焼き切れないか」を
検証する短絡電流耐量の検討も必要となる。
上位系統の短絡容量(%Z)を把握し
余裕を持ったサイズ選定(一般的には最低でも22mm²以上、多くは38mm²以上を採用)を行うこと。
- 日本産業規格(JIS): JIS C 3606「高圧架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル」
- 日本電線工業会規格(JCS): JCS 0168「電力ケーブルの許容電流計算」
- JCS 0168-1: 短絡時または地絡時の許容電流
- JCS 0168-3: 33kV以下電力ケーブルの許容電流計算-第3部:高圧架橋ポリエチレンケーブルの許容電流
- 一般社団法人 日本電気協会: 『内線規程(JEAC 8001)』
- 一般社団法人 日本電気協会: 『高圧受電設備規程(JEAC 8011)』
- 電線各社(住友電気工業/フジクラ/古河電気工業/SWCC): 『電力用ケーブル総合カタログ 技術資料編』