接地抵抗についての概略
接地抵抗とは、接地された導体と大地の間の抵抗とされている。
左図のように接地極Eに補助接地極P, Cを用いて交流の試験電流Iを流すと
電圧降下の分布は右図のような電位分布となり、その中間点の電圧降下は
補助接地極Pの位置を変えても電圧がほぼ一定となる部分がある。
左:接地抵抗測定の原理図 右:電位分布図
このP点の電圧降下EPを試験電流Iで割った値RXが
接地極Eの接地抵抗となる。
RX=EP/I [Ω]
絵解き 電気設備の保守と試験「接地抵抗の測定」より画像引用
接地方式をあらわす文字について
電気の接地系統は、TT系統以外にもいくつか国際規格(IEC)で定められた主要な方式がありる。
これらは主に、TN系統とIT系統に分類される。それぞれの系統の名称は
以下のアルファベットの組み合わせで決まる。
1文字目
電源(変圧器の二次側など)と大地の関係
- T (Terra)
中性点(または一点)が直接大地に接地されている。
- I (Isolated)
活線部が大地から絶縁されているか、高インピーダンスを介して接地されている。
2文字目
機器の露出導電部(金属筐体など)と大地の関係
- T (Terra)
露出導電部が、電源の接地とは独立して直接大地に接地されている。
- N (Neutral)
露出導電部が、電源の接地された中性点に直接接続されている
=中性線を通じて接地されている。
3文字目
中性線および保護導体の布設の関係を示す記号のこと。
- S(Separated)は分離の意味で保護導体として
中性線とは別の導体を布設することを表している。
- C(Combined)は組合せの意味で中性線と保護導体を一つの導体(PEN)に
統合して布設することを表している。
TN系統についての分類
左図:TN-S接地方式 右図:TN-C接地方式
TN系統は、電源の中性点が直接大地に接地されており
かつ、機器の露出導電部が電源の接地された中性点に接続されている系統。
TN系統は、中性線と保護導体の配置によってさらに3つのサブタイプに分けられる。
TN-S系統 (Separate)
- 特徴
中性線(N)と保護導体(PE)が、配電系統全体にわたって別々に敷設されている。
つまり、各機器にはN線とPE線の両方が配線される。
- 接地
電源の中性点は接地され
機器の露出導電部はPE線を通じてその中性点に接続される。
利点
地絡電流が金属導体を流れるため、地絡故障時のインピーダンスが低く、保護装置(過電流保護装置など)が確実に動作しやすい。
PE線に電流が流れにくいため、電磁両立性(EMC)の観点からノイズに有利。
地絡時の電圧降下が少なく、安全性が高い。
欠点
N線とPE線の2本が必要なため、配線コストが増加する。
N線とPE線を途中で接続すると問題が生じる可能性がある。
- 用途: コンピュータシステムや医療機器など、ノイズに敏感な設備で使用されることが多い。
TN-C系統 (Combined)
- 特徴
中性線(N)と保護導体(PE)が一本の導体(PEN:Protective Earth and Neutral)に統合されている。
- 接地
電源の中性点は接地され、機器の露出導電部もPEN線に接続される。
利点
配線がPEN線1本で済むため、設備コストを削減できる。
欠点
・PEN線に電流が流れるため、その上に電圧降下が生じ
機器の露出導電部にも電圧変動が起こる可能性がある。
・PEN線が断線した場合、機器の露出導電部が充電されてしまい
感電の危険性が高まる(これが最大の欠点)。
・ノイズの影響を受けやすい。
- 用途: 現在では新しい設備で採用されることは稀で
主に古い設備や一部の産業用システムで見られる。PEN線断線のリスクから、推奨されない傾向にある。
TN-C-S系統 (Combined-Separate)
- 特徴
配電系統の供給側(変圧器側)ではPEN導体を使用し
ある地点からN線とPE線に分離して需要家へ供給する方式。分離以降はTN-S系統となる。
- 接地
電源の中性点は接地され、PEN線を経由して分離点以降はN線とPE線が別々になる。
機器の露出導電部はPE線に接続される。
利点
TN-CとTN-Sの利点を組み合わせた形。供給側はコストを抑えつつ、需要家側は安全性を確保できる。
比較的広く採用されている。
欠点
PEN線が分離点よりも供給側で断線した場合、TN-C系統と同様に感電のリスクがある。
分離点での適切な施工が重要。
- 用途: イギリスなど、多くの国で採用されている一般的な方式。
TN系統の保護形式
TN方式では、金属製外箱と電源の中性点が繋がっているので
電気機器に絶縁不良が発生して金属製外箱が充電されると
短絡と同じ状態になり、非常に大きな漏えい電流が流れてしまう。
このため、地絡保護は通常は漏電遮断器ではなく過電流遮断器で行う。
TT(Terra Terra)方式
TT方式の回路
TT方式は、上図のように、電源の中性点と負荷側の金属製外箱をそれぞれ独立して接地する方式で
国内で標準的に実施されている方式となる。
この場合、電源側の接地はB種接地、負荷側の接地はC種接地 or D種接地になる。
また、電気機器の金属製外箱の接地は機器ごとに単独で接地極を埋設して接地する場合と
複数の機器をまとめて接地する場合がある。
TT方式は、中性線と保護導体の接地が別になっているので、雷サージやノイズなどが侵入すると
中性線(電源)と保護導体(金属製外箱)間に電位差が発生する。
この電位差が大きくなると、機器の破損や異常動作を起こす危険性がある。
保護方式
電源の中性点の接地と負荷側の金属製外箱の接地が別なので
電気機器に絶縁不良が発生して金属製外箱が充電されると
漏えい電流は2つの接地抵抗を通して流れる。
このため、漏えい電流が小さく過電流遮断器で遮断できないので
地絡保護は漏電遮断器で行う。
人体に対する安全性
上図のように機器が地絡した場合、漏えい電流は接地抵抗を介して流れるので
金属製外箱の電位が上昇し大地との間に電位差が発生する。
TT方式では地絡時に金属製外箱に接触すると感電のおそれがあります。
特に、B種接地抵抗値に比べてD種接地抵抗値が大きいほど
発生する電圧は系統電圧にちかづくので危険となる。
IT系統 (Isolated Terra)
IT系統は、電源の活線部が大地から絶縁されているか
または高インピーダンスを介して接地されており、機器の露出導電部が独立して接地されている系統のこと。
- 特徴
電源と大地間に意図的な直接接続がない。
- 接地
電源は非接地(または高抵抗接地)、機器の露出導電部は独立して接地される。
利点
●最初の地絡事故では電流が非常に小さい
地絡が発生しても、閉回路が形成されにくいため、電流は対地静電容量を通じてしか流れない。
これにより、機器の停止や危険な状況を回避できる。
●高い供給信頼性:
最初の地絡事故では運転を継続できるため
重要な設備やプロセス(病院の手術室、データセンター、化学プラントなど)で
電力供給の中断を避けたい場合に有利となる。
●二次災害のリスク低減: 最初の地絡事故が原因で火災や爆発につながるリスクが低い。
欠点
●地絡検出が複雑
最初の地絡事故で運転を継続するため
地絡警報装置(IMD: Insulation Monitoring Device)による監視が必要となる。
●二度目の地絡事故で危険
異なる相で二度目の地絡事故が発生すると
短絡電流が流れてしまうため、TN系統と同等かそれ以上の危険な状態になる可能性がある。
●コストが高い
絶縁監視装置の設置や、二度目の地絡事故に備えた対策が必要となるため
設備コストが高くなる傾向がある。
●高調波の影響
高調波電流が絶縁監視装置の誤動作を引き起こす可能性がある。
- 用途: 医療施設(特に手術室)、データセンター、産業用プロセス(化学プラント、製鉄所など)、軍事施設など、電力供給の継続性が極めて重要で、かつ、最初の地絡でシステムを停止させたくない場所に採用される。
電気の接地系統の比較表
参考資料
新電気2021.12 現場の疑問解決塾 接地について 各種接地方式