VCB(Vacuum Circuit Breaker)とは
真空遮断器を指し、高圧の電気が漏電や短絡などの事故が発生した際に、異常電流を遮断する機器のこと。
VCBの主な特徴
VCBは、配電用変電所や需要家構内のキュービクル内に設置され
電力系統や需要家構内の回路の保護を目的としています。
VCBには事故を検出する機能がないため
過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR又はDGR)と組み合わせて事故回路を遮断する。
回路の開閉及び事故が発生したときに高圧回路を開放する。
ただし、過負荷、短絡事故時には電力ヒューズが溶断し、回路を開放する。
※電力ヒューズの付いていない高圧負荷開閉器(断路器扱い)もある。
「保安上の責任分界点の負荷側電路には、責任分界点に近い箇所に主遮断装置を施設すること。また、主遮断装置は、電路に過電流および短絡電流を生じたときに自動的に電路を遮断する能力を有するものであること」
と規定しており、高圧受電設備には、主遮断装置を施設することとなっている。
高圧の自家用受電設備に関する規格である高圧受電設備規程(JEAC 8011-2014)より引用
表:主遮断装置の形式と受電設備方式ならび設備容量
受電設備容量は、主遮断装置の形式および受電方式により、上表のそれぞれに該当する。
主遮断装置の種類は設備容量により使い分けることになっている。
キュービクルなど金属箱内に機器を固定するタイプの受電設備で
主遮断装置にPF・S形(ヒューズ)を使用する場合は300kV・Aまでの制限がある。
※遮断器の場合は、設備容量に制限はない。
遮断器の場合は、OCRの電流および時限タップを変えることにより
逆時限特性を自由に変化させることができるので、配電用変電所との協調が可能になる。
変圧器の一次側の開閉装置は、遮断器(CB)または負荷開閉器(LBS)のどちらでもよいとなっている。
また、進相コンデンサの開閉装置も遮断器(CB)または負荷開閉器(LBS)のどちらでもよいが
自動制御する場合は、遮断器(CB)を使用することとなっている。
① 開閉機能
限流ヒューズと遮断器などの開閉機能を比較すると、下表のようになる。限流ヒューズは負荷開閉器と組み合わせて使用すると、より多くの機能が得られることがわかる。
② ヒューズ
ヒューズは、小型・安価で優れた保護特性を有する遮断装置だが
繰り返し使用できないことや、保護協調に制限があること、突入電流で劣化しやすいなどの欠点もある。
したがって、使用目的をよく考えて選定する必要がある。一般的には、次のような箇所で使用される。
(a) 変圧器用
変圧器の一次側事故や二次側直下の短絡の保護に使用する。
(b) コンデンサ用
コンデンサの内部故障時にケースが破壊するのを保護するために使用する。
(c) 後備保護用
遮断器の遮断容量不足のバックアップ用として使用する
(d) 電動機用
電動機保護用として、事故電流を遮断する。
この場合、大きな始動電流の頻繁な入り切りにも耐え得るものを選定する。
(e) ケーブル用
事故電流を遮断しケーブルを保護する。
③ 遮断器
遮断器の場合は、遮断器本体に加えてOCRやCT、断路器などを必要とするが
ヒューズに比べて信頼性が高く保護協調も容易となる。
※事故電流を繰り返し遮断できるのは大きな利点となる。
したがって、機能的には遮断器は使い勝手の良い遮断装置だが
価格が高いため、設備の信頼度、運用方法、維持管理なども含めて導入を検討する必要がある。
新電気2019年 11月号 現場の疑問解決塾第11回
「ヒューズと遮断機はどう使い分けているんですか」より一部引用