クランプ式電流計は、運転中の回路や配線を開く（停電状態）ことなく
そのまの状態（充電状態）で電流を測ることができる大変便利な測定器のこと。
左：ディジタル式クランプメータ 右：アナログ式クランプメータ
形状別にみると、クランプ部（変流器）と指示計器部が一体となっている一体形と
別々になっている分割形とがある。
●指示計器部はアナログ式（指針形）のものとディジタル式（数字式）のものとがある。
●用途別には、負荷電流などを測定するものと漏れ電流などの微小電流を測定するものとがある。
クランプ式電流計は、リード線を取り付けることにより
電流のほかに電圧や抵抗の測定ができるようにしたものも最近は多くなっている。
各部名称
主な機能
負荷電流の測定
開閉レバーを片手で握り、分割変流器（ジョー）を開き、被測定電線にはさみ込んで測定する。
測定値が予想できないときは、大きいレンジから順に下位のレンジに切り替えていく。（故障防止）
指示値が読みにくい場所では、HOLDキーを活用すれば便利。
漏れ電流の測定
操作方法は、負荷電流の測定と同様。
漏れ電流の測定は、単相の場合は2本一緒に、三相の場合は3本一緒に挟み込んで測定する。（下記図参照）
電圧の測定
レンジ切替スイッチを（V）に合わせ、テストリードを測定端子（V）のところに接続して測定する。
抵抗の測定
レンジ切替スイッチを（Ω）に合わせ、抵抗プロローブを接続して測定する。
測定前には、零Ω調整をしてから測定する。
測定原理
一次側に交流電流が流れると, 鉄心に巻かれた二次巻線には電磁誘導作用により起電力が発生する。
この巻線を閉回路にすると, 電線に流れる電流に比例した電流が流れる。
レンジ切替スイッチによりR1の値を変え, メータの回路に流れる電流を選択して測定する。
クランプ電流計のセンサ部分、測定端子、測定プローブに「CAT」（キャット）という表記がある。
「CAT」とは測定カテゴリーというもので、測定できる場所、電圧範囲を示すもの。
※国際規格で決まっているので、日本の測定器でも外国製の測定器でも同じ表記をしている。
CATは、測定できる場所と入力できる対地間電圧の2つを示している。
※下記参照
測定器が測定範囲内で安全に測定できることは当然の仕様であり
現場では、ブレーカの入／切や雷などが原因で、突発的に高電圧が発生するときがある。
測定中に予想外の電圧が測定器に入力された場合
それに適した測定器を使用していれば、測定器が故障したり、感電したりする抑えることができる。
現場状況を考慮して、測定器はより安全に作られており
その強さの度合いを示すのがCATとなる。
CATの区分
測定場所は発生し得る過渡過電圧に応じて、I（ワン）からIV（フォー）まで上図のように決まっている。
数字が大きくなるにつれて供給側になる。
供給側に近いほうが、突発的に高電圧が発生しやすいので
瞬間的な高電圧に耐えるように設計されている。
電圧値は対地間電圧を示す。
この値も大きいほど安全な測定器となる。
分電盤から負荷側の電気設備を測定するならCAT IIIとなるが
キュービクルや変電所を測定するならCAT IVが必要になる。
電圧は線間電圧ではなく、対地間電圧であることに注意が必要となる。
具体例
単相3線の場合、線間電圧は100 Vと200 Vだが、対地間電圧はともに100 V程度となる。
よって、CATの電圧レベルとしては300 Vあれば十分となる。
CAT II
コンセントに接続する電源コード付き機器 (可搬形工具・家庭用電気製品など) の一次側電路コンセント差込口を直接測定する場合。
CAT III
直接分電盤から電気を取り込む機器 (固定設備) の一次側および分電盤からコンセントまでの電路を測定する場合。
CAT IV
建造物への引込み電路、引込み口から電力量メーターおよび一次側電流保護装置 (分電盤) までの電路を測定する場合。
絵解き 電気設備の保守と試験「クランプ式電流計の使い方」より一部引用
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.hioki.co.jp/file/cmw/hdInstructionManual/95126/pdf/?action=browser&log=1
HIOKI 3280-10F ACクランプメータ説明書より引用
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.hioki.com/jp-ja/download/30224
HIOKI 9666 100:1プローブ 取扱説明書より引用
新電気2020年3月号 「特集 クランプ電流計を使いこなせ」より一部引用