配線設計は、解釈第148条「低圧幹線の施設」に基本的なことが示されている。
また、内線規程(JEAC8001-2016)にも関連項目があるので参考にする。
内線規程における関連する箇所は
「1編総則、3章保安原則」に記載されている1360-8~10
「3編電気使用場所等の施設、6章電灯及び家庭用電気機器器具の配線設計」の3605-7~9
「3編電気使用場所等の施設、7章低圧の電動機、加熱装置及び電力装置の配線設計」の3705-6~10
が該当する。
より詳細には
「1360-8電線を保護する過電流遮断器の施設」
「1360-9電線を保護する過電流遮断器の定格電流」
「1360-10低圧幹線を分岐する場合の過電流遮断器の施設」
「3605-7過電流遮断器の取付け」
「3605-8幹線の電線太さ」
「3605-9幹線の簡便設計」
「3705-6電動機の幹線の太さ」
「3705-7電灯及び電力装置などを併用する幹線の太さ」
「3705-8幹線の過電流保護」
「3705-9幹線に取り付ける開閉器」
「3705-10電動機回路の簡便設計」
電気設備技術基準(以下、電技)
電気事業法第39条第1項および第56条第1項の規定に基づく省令で
達成すべき目的や目標のみを記載する機能化された基準。
解釈(電気設備の技術基準の解釈)
電技の基準を満たす「具体的な施設方法」「材料の規格、数値、計算式」などが詳細に記載されている。
解釈は、行政手続法に基づく審査基準として位置づけられ
電技に定められた技術的要件を満たす技術的内容の一例を具体的に示したもの。
したがって、内線規程の内容が引用されているものもある。
内線規程
電技、解釈を踏まえて、その規定内容を具体的にわかりやすく表現するとともに
民間規格として需要場所の電気設備の保安の確保を目的として
解釈などに明記されていない補足、補完的事項をも記したもの。
本文で規定されている内容は大きく分けて
て3つあり、要約すると以下の通り
① 低圧幹線の電線の許容電流IA(→電線の太さ)
上図において、一般の場合
(ただし、kは定数)
となる。
② 過電流遮断器の定格電流IB
上図において電動機を含む場合は、
となる。
この2つの式を計算して、数値が小さいほうを採用される。
③ 低圧幹線を分岐する場合の過電流遮断器の施設
低圧幹線(太い幹線)からほかの低圧幹線(細い幹線)を分岐する場合
細い幹線を短絡電流から保護するために
前述②に準ずる過電流遮断器(以下、「MCCB」)を施設するように定められている。
また、幹線は末端にいくほど細い電線を使用する場合が多いため
電線の太さ(許容電流)の異なる部分のうち、前述②のMCCBの定格電流では保護できない部分に
それより負荷側の電線を保護できるMCCBを設置する。
第148条第1項第四号のただし書きで
次の4つ(イ~ニ)のいずれかに該当すれば、このMCCBを省略できるとしている
下図参照
イ.細い幹線の許容電流が太い幹線のMCCBの定格電流の55%以上である場合
ロ.細い幹線の長さが8m以下であり、かつ、許容電流が太い幹線のMCCBの定格電流の35%以上である場合
ハ.太い幹線またはイ.もしくはロ.の細い幹線に接続する長さ3m以下の細い幹線であって、当該細い幹線の負荷側にほかの幹線を接続しない場合
ニ.低圧幹線に電気を供給する電源が太陽電池のみであって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線を通過する最大短絡電流以上である場合
①電路:通常の使用状態において電気を通ずる回路の全部または一部。
②配線:電気使用場所において固定して施設する電線をいい
機械器具内(配電盤および分電盤を含む)にその一部分として施設された電線
特別低電圧照明回路の電線、小勢力回路の電線などは含まない。
③許容電流:電線の連続にょうに際し、絶縁被覆を構成する物質に
著しい劣化をきたさないようにするための限界電流。
④引込口:屋外または屋側からの電路が家屋の外壁を貫通する部分。
⑤幹線:引込口から分岐過電流遮断器に至る配線のうち、分岐回路の分岐点から電源側の部分。
⑥分岐回路:幹線から分岐し、分岐過電流遮断器を経て負荷に至る間の配線。
⑧過負荷電流:機械に対してはその定格電流、電線に対してはその許容電流をある程度超過し
その継続時間を合わせ考えたとき、機器または電線の損傷防止上自動遮断を必要とする電流。
⑨短絡電流:電路の線間がインピーダンスの少ない状態で接触を生じたことにより
その部分を通じて流れる大きな電流。
⑩過電流遮断器:配線用遮断器、ヒューズ、気中遮断器のように
過負荷電流および短絡電流を自動遮断する機能を持った器具。
⑪分岐過電流遮断器:分岐回路ごとに施設するものであって、その分岐回路の配線を保護する過電流遮断器。
新電気2020年 3月号「理論と実務を結ぶ電気のQ&AQuestion 44配線工事 その1」より一部引用