PGS(Pole Gas Switch / 柱上高圧ガス負荷開閉器)についての基礎知識まとめ

PGSについての概略

PGSは、電力会社からの電気を引き込む「責任分界点」に
設置される開閉器の一種。

  • 正式名称: 柱上高圧ガス負荷開閉器
  • 絶縁媒体: SF6ガス(六フッ化硫黄ガス)

主な役割

  • 区分開閉
    建物の電気点検時や工事の際に、PGS2次側の需要家設備を停電させるための開閉器
  • 波及事故防止
    建物内で起きた電気事故(特に地絡)が
    地域全体の停電(波及事故)へ広がるのを防ぐ役割。

現場での呼び分け

広い意味で「PAS(パス)」と呼ばれることが多いが、厳密には以下のように分類される。

  • PAS: 気中(空気)絶縁タイプ(Pole Air Switch)
  • PGS: ガス絶縁タイプ(Pole Gas Switch)
  • VT/VAS: 真空絶縁タイプ(Vacuum Switch)※近年増加中

PGSの仕組みと「SOG制御装置」の関係

PGSは単独ではただの手動スイッチが
電柱の下(またはキュービクル内)にあるSOG制御装置とセットで使うことで
安全装置としての真価を発揮する。

SOG制御装置の役割

SOGは「Storage Over Current Ground」の略で
電気の異常を監視し、異常があればPGSに開放指令を送る。

機能異常の種類動作内容
GR (Ground Relay)地絡(漏電)ケーブルの劣化や小動物の接触などで電気が地面に漏れた際、即座にPGSを開放し、電力会社の配電線への影響を遮断する。
SO (Storage Over current)短絡(ショート)建物内でショートが起きた際
PGSをロックする。
電力会社の遮断器が動作して停電した後、無電圧状態で
PGSを開放する。

PGSと波及事故の関係

高圧受電設備で被害が大きくなる事故の1つに
自社の事故が原因で近隣の住宅や工場まで停電させてしまう「波及事故」が考えられる。
PGSは波及事故の対策の1つとして設置される高圧機器として使用される目的も持つ。

波及事故が起こる原因の具体例

地絡(漏電)の場合

電力会社の変電所が感知するよりも早く
SOGがPGSをトリップさせて自社だけを切り離す。

短絡の場合

PGSのような「開閉器」は、ショート時のすさまじい大電流(数千アンペア)を遮断する能力がなく
無理に切ろうとするとアーク放電でPGS自体が爆発する可能性がある。
そのため、SOGはロック指令を出す。
電力会社の変電所がショートを検知して地域一帯を一瞬停電させます。
PGSは「停電して電気が流れていないこと」を確認してから、開放する。
その後、電力会社が再送電した際、事故があったあなたの建物だけ切り離された状態になり
近隣への再送電が成功する。

    PASとPGSの比較一覧

    特徴PGS(ガス)PAS(気中)備考
    サイズコンパクト大きいガスは空気より絶縁性能が高いため小型化できる。
    耐久性高い普通密閉されており、塩害・ホコリ・湿気の影響を受けにくい。
    消弧性能高い普通電気を切る際のアークを消す能力が高い。
    環境性低い高いSF6は温室効果ガスであるため、廃棄時の処理が厳格。
    メンテナンスガス圧管理が必要外観点検のみガス漏れ(圧力低下)が起きると機能しなくなる。

    PGSの更新時期とメンテナンス

    PGSは屋外(しかも柱の上)という過酷な環境にあるため、定期的な更新が必須となる。

    • 更新推奨時期: 10年~15年
    • 劣化のサイン
      • 本体の著しい錆(サビ)。
      • ガス圧低下(赤い表示が出るものがある)。
      • 制御ケーブルの被覆ひび割れ。
      • SOG制御装置の不動作(年次点検時の試験で判明)。

    更新時期を超えて使用し続けると、いざという時に動作せず波及事故を起こしたり
    逆に誤動作で全館停電を引き起こすリスクが高まる。

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