点検時の安全性の法的根拠(高圧受電規定と労働安全衛生規則第519条・第524条の観点から)

電気主任技術者が行う月次点検(外部委託を含む自家用電気工作物の保守管理)における安全性の法的根拠は
設備の技術的安全性を示す「高圧受電規定」
作業者自身の身を守るための「労働安全衛生規則」の双方から構成されている。

高圧受電規定(設備維持と点検の技術的根拠)について

「高圧受電規定(日本電気協会 Q1101)」は
電気事業法に基づく「電気設備技術基準」の細目事項を定める民間規格だが
実務上は法令に準じた公的な指針として扱われている。

点検の義務と安全性

高圧受電規定では、設備の信頼性を維持するために「保守・点検」を行うべきことが規定されている。
月次点検は、無停電状態で設備の外観や過熱の有無を確認し
電気的な安全(絶縁、接地状態など)が保たれているかを技術的に判断する業務となる。

離隔距離と安全確保

高圧受電規定は、充電部(電気が流れている部分)から人体や構造物が保つべき「安全離隔距離」を定めている。
月次点検は通常「活線状態(電気が通っている状態)」で行われるため
この規定を守ることが感電事故を防ぐための直接的な技術的根拠となる。

労働安全衛生規則:作業者の転落・墜落防止の根拠

電気主任技術者の点検業務は「労働」であり、事業者(または委託を受けた技術者)は
労働安全衛生法および同規則(安衛則)を遵守する義務がある。
特に、キュービクルが屋上や高所に設置されている場合、以下の条文が極めて重要になる。

第519条(開口部等の囲い等)

内容

高さが2メートル以上の作業場所で、開口部(屋上の端、床の穴など)から墜落する危険がある場合
事業者は「手すり」や「囲い」「覆い(カバー)」などを設けなければならないと定めている。

月次点検における意味

屋上にある受電設備の点検時、建物の端や設備基礎の段差付近で作業を行う場合
この規定に基づく安全措置が必要。
もし手すり等の設置が著しく困難な場合は、防網(安全ネット)を張る
作業者に要求性能墜落制止用器具(フルハーネス型安全帯など)を使用させることが義務付けられている。

第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)

内容

スレートや木毛板など、踏み抜くおそれのある脆弱な材料でふかれた屋根の上で作業を行う場合
幅が30センチメートル以上の歩み板(足場板)を設置し
防網を張るなどの措置を講じなければならないと定めている。

月次点検における意味

工場の屋根(スレート製が多い)を通って受電点や避雷器を点検する場合
あるいは屋根上にあるキュービクルへ移動する場合に適用される。
スレート屋根は経年劣化で非常に脆くなっていることが多く
電気主任技術者が点検路として歩く際には
この第524条に基づく「歩み板の設置」や「墜落制止用器具の確実な使用」が
転落死傷事故を防ぐための絶対的な法的義務となる。

法的根拠のまとめ

電気主任技術者の月次点検における安全性は、以下の二段構えで守られている。

  1. 電気事業法・高圧受電規定
    「設備が安全であること」および「充電部に触れないための距離を保つこと(感電防止)」の根拠。
  2. 労働安全衛生規則(519条・524条)
    「点検場所への移動や作業中に墜落・転落しないこと(墜落防止)」の根拠。

特に屋上やスレート屋根での点検が多い月次点検において
安衛則第519条・第524条は、万が一の事故が発生した際の「事業者の安全配慮義務」を問う重要な指標となる。
点検を行う際は、これらに基づき「安全な通路の確保」と「墜落制止用器具の着用」を徹底する必要がある。

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労働安全衛生規則(抄) より一部引用

JEAC 8011-2020 高圧受電設備規定 を基に一部作成及び引用

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