高圧ケーブルの端末処理についての基礎知識まとめ

高圧受電設備(キュービクル)の保守や施工において
高圧引き込みケーブル(一般的にCVTケーブルなど)の端末処理は
絶縁性能を維持するために最も重要な工程の一つ。

不適切な処理は放電や短絡事故に直結するため
繊細な作業が求められる。

端末処理の目的

高圧ケーブルの端部では、遮蔽銅テープや半導電層が途切れるため
電界が集中しやすくなる。
端末処理の主な目的は以下の2点。

電界緩和

電位勾配を緩やかにし、絶縁破壊を防ぐ。

外部遮断

湿気や埃の侵入を防ぎ
長期間の絶縁性能を確保する。

一般的な作業工程(屋内・屋外用処理キット使用時)

① ケーブルの段剥ぎ

絶縁体、半導電層、遮蔽銅テープを決められた寸法(仕上がり図面通り)で段階的に剥ぎ取る。

絶縁体を傷つけないよう、専用の電工ナイフやストリッパーを使用する。
わずかな傷が「水トリー現象」の原因となる。

② 半導電層の除去

絶縁体表面に残った半導電層(黒い層)を完全に除去し
表面を洗浄剤(無水エタノール等)で清掃する。

半導電層の切り口は段差がないよう滑らかに仕上げる。

③ ストレスコントロール(電界緩和)

電界集中を防ぐため、電界緩和テープを巻くか

あるいはストレスコーンと呼ばれる一体型の部品を挿入する。
これにより、電気力線の密度を分散させる。

④ 絶縁筒・雨出し(笠)の取り付け

  • 屋内用
    絶縁筒を被せて、湿気や埃から保護する。
  • 屋外用
    雨水が伝わって地絡しないよう
    傘のような形状の「雨出し」を取り付け、表面漏れ距離を長く確保する。

⑤ 端子の圧着と防水処理

導体部に圧縮端子(または圧着端子)を取り付け
ケーブルシースとの境界などを防水粘着テープや熱収縮チューブで完全に密封する。

施工・点検時の重要チェック事項

項目確認内容
絶縁体表面の傷目視および触診で、縦傷や凹凸がないか確認する。
清掃の徹底半導電層の粉末や手垢が残っていると
そこからトラッキング(炭化導電路)が発生する。
接地(アース)遮蔽銅テープをまとめた編組スズメッキ銅線を、必ず確実に接地する。
絶縁抵抗測定処理完了後、高圧メガーで絶縁抵抗が
規定値以上であることを確認する。

劣化の兆候(保守点検のポイント)

ボイド(空隙)

テープ巻きが甘く、内部に空気が入ると放電の原因になる。

コロナ放電音

「ジリジリ」という異音がしていないか。

トラッキング現象

表面に白い粉や樹枝状の跡が出ていないか。

ななし

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。 ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。 1. 保有資格 実務に関わる以下の国家資格を保有しています。 第3種電気主任技術者(2023年取得) 第1種電気工事士 建築物環境衛生管理技術者 2. 経歴・実務経験 電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。 現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。