高圧受電設備や低圧回路における過電流保護のうち
過負荷保護は、電線や機器の許容電流を上回る電流(過負荷電流)が継続して流れた際に
絶縁物の劣化や火災を防ぐために回路を遮断・保護することを指す。
過電流保護は、大きく分けて「過負荷保護」と「短絡保護」の2つに分類される。
その特性の違いは以下の通り。
| 項目 | 過負荷保護 | 短絡保護 |
| 発生原因 | モーターの過負荷、機器の使いすぎ、過密な負荷接続など | 電線同士の接触(ショート) 絶縁破壊など |
| 電流の大きさ | 定格電流の数倍程度(比較的少なめ) | 定格電流の数十倍〜数百倍(非常に大きい) |
| 求められる動作 | 機器の熱容量に合わせて反時限特性で遮断 | 機器が破壊される前に瞬時に遮断 |
過負荷保護は、電流による「熱の発生」を監視して
動作するメカニズムが多く用いられる。
① 配線用遮断器(MCCB)
低圧回路で最も一般的。
内部に熱動式(バイメタル)や電子式のセンサーを備えており
過負荷電流による発熱でバイメタルが湾曲することを利用して、反時限特性で回路を遮断する。
② サーマルリレー(熱動継電器) / 電磁開閉器
主にモーター(電動機)の保護に使用される。
モーターがロックしたり、過負荷状態で運転を続けたりした際の発熱をバイメタルで検知し
電磁接触器(マグネットスイッチ)を開放してモーターを停止させる。
③ 過電流継電器(OCR)
高圧受電設備(ビルや工場など)の主遮断装置(CB形)などで使用される。
流入する電流を電流検出器(CT)を介して確認し
設定された値(整定値)以上の過負荷電流が一定時間継続した場合に
遮断器(VCBなど)へトリップ信号を送って遮断させる。
許容電流と保護
電線や変圧器、機器には、連続して流すことができる電流の限界値(許容電流)が決まっている。
これを超えると、ジュール熱(P = I^2 R)によって電線の被覆(絶縁物)が溶け
最終的に短絡事故や火災に発展する。
そのため過負荷保護は、「機器や電線が熱的に破壊される前に回路を切り離す」ことが原則となる。
保護協調(コーディネーション)
過負荷保護において極めて重要なのが
上流(電源側)と下流(負荷側)の保護機器の動作タイミングを合わせる「保護協調」となる。
動作の優先順位
負荷側(下流)で過負荷が発生した場合は、その負荷に最も近い遮断器だけがトリップし
健全な他の回路への停電影響(波及事故)を最小限に抑えるよう
動作時間や電流の感度を段階的に整定する必要がある。