動作時限測定とは
過電流継電器の試験の際、動作時限測定の欄がある。
これは動作電流値の値によってどの程度の時間で継電器が動作するかの値を測定する試験である
なお、各継電器メーカーが出している判定基準をもとに継電器が故障していないか判断する。
動作時限には特性があり、大きく以下の4つにわかれる。
超反限時特性(EI)・強反限時特性(VI)・反限時特性(NI)・定限時特性(DT)
他の継電器やLBSなどの高圧機器を保護するものと保護協調を考えてどの特性にするか考慮する必要がある。
超反限時特性(EI)(Extremely Inverse)
超反限時特性は、発熱(ジュール熱)特性に合っているため
変圧器や進相コンデンサなどを保護する限流ヒューズと
変圧器二次側に施設する熱動形の配線用遮断器との動作協調が図りやすい特性である。
そのため、近年の高圧受電設備の主遮断装置におけるOCRとしては
最もよく選択されている動作時間特性である。
下図のような電流の2乗に反比例する動作時間特性式に基づいており
例えば、Iが10倍(1,000%)、D=0.5であるときの動作時間t(s)を求めると、0.04sになる。
電気機器の過負荷保護に適している。 MCCBやヒューズなどの保護機器の特性とも合っているので保護協調がとりやすい。

強反限時特性(VI) (Very Inverse)
強反限時特性は、反限時特性に比べて特性曲線の傾きを急峻にした特性であり
電気機器の過負荷耐量特性に合っているため
変圧器の励磁突入電流や誘導電動機の始動電流による動作が避けられるとともに
過負荷保護用にも適している。

反限時特性(NI)(Normal Inverse)
反限時特性は、入力電流値に反比例して動作時間が変わる最も基本的な特性であり
デジタル形OCRに移行するまでは高圧受電設備の受電保護用において広く用いられていた。
動作時間を tとしたときの動作時間特性式は次式のとおり。
I は限時要素の電流整定値に対する入力電流値の倍率を示し
D は動作時間ダイヤル(タイムダイヤルあるいは単にダイヤルともいう)の整定値とする。

上式は D=10 のときの動作時間を基準にした特性式を表している。
D=1 のときの動作時間は、 1/10=0.1 倍になる。
同様に、 D=0.5 のときは、 0.5/10=0.05 倍になって特性が下方へ移動し、動作時間が速くなる。
つまり、D 値の選定には、縦軸、すなわち時間軸に対し
垂直方向(上下方向)に特性曲線を平行移動させる役割がある

定限時特性(DT)(Definite Time)
定限時特性は、整定値電流以上の入力電流であれば
その電流の大小にかかわらず、動作時間が一定になる特性。
=整定値電流以上であるかどうかを判定させる目的で用いる。
そのため、不感帯地域などで用いることがある。
今のところ定限時特性の設定にしているOCRとは出会ったことはありません。

参考資料
各時限特性図はデジタル形過電流継電器の取り扱い説明書より引用
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3660/
新電気2020年 6月号 THE 保護協調 「高圧需要家の波及事故を防止するには」より引用

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