OCR(過電流)継電器についての基礎知識まとめ

過電流継電器についての概略

CB形に設置させる継電器の一種。
高圧計器用変流器(CT)高圧真空遮断器(VCB)と組み合わされて使用されることがほとんど。
過電流継電器には過負荷保護のための限時特性と短絡保護の瞬時特性がある。

瞬時特性と限時特性の違いについて

高圧受電設備の過電流継電器の特性として限時特性と瞬時特性がある。

限時特性

建物や工場内で複数の機械を同時に使いすぎることで機械が故障するほどの多くの電気を使用しているとき
設定している時間に応じて強制的に一部、もしくはすべての区間を停電状態にする機能。

限時特性の電流整定は、主に高圧受電設備の過負荷保護をするために行う。
過電流継電器についている限時電流整定のダイヤルで動作電流を整定できる。

また、限時時間整定のダイヤルとセットになっており過電流継電器の動作時間を
変更することができる。
※継電器の種類によっては限時特性の動作ロックボタンやその状態するダイヤルが存在する。

瞬時特性

非常に大きな電流(短絡電流)が流れたときに瞬時に動作して、機械が壊れるのを防ぐ機能
基本的に設定は変圧器容量から計算される電流値の1000~1500%の値にする。

限時特性と違い限時時間整定のダイヤルは存在しない。
例)オムロン製過電流継電器(K2CA形)は0.05secに固定

過電流継電器の限時特性について

限時特性とは
過電流継電器に流れる電流の大きさと動作時間との関係を表した特性のこと。

限時特性における電流と時間の関係は上図のように流れる電流が大きくなると
動作時間が対数目盛分早くなっていく反限時特性となっている。

縦軸の動作時間が対数目盛となっている。
横軸の%は限時整定値の倍数の電流を示している。


反限時特性は、超反限時特性、強反限時特性、反限時特性、定限特性などがある。

その中でも、超反限時特性は電流が流れるほど動作時間が一番早くなる。
高圧受電設備によく使用されている特性は超反限時特性となる。

限時特性に種類がある理由

過負荷時には短絡事故のような大電流が流れないため、動作に余裕をもたせる必要がある。
しかし大電流が流れている間は設備に対するダメージが大きいため
電流の大きさに対して動作時間が倍数で早くなるようにしている。

過電流継電器の接点方式について

過電流継電器は整定値以上の電流が一定時間流れると内部の接点が動作しVCBへトリップ信号を送り
VCBを開放して、事故点を切りはなす。
過電流継電器の内部接点方式には「常時開路式」と「常時閉路式」の2種類に大別される。

常時開路式

左図:コンデンサ引き外し方式例 右図:電圧引き外し方式例

電流検出部と接点が分離されている方式。
そのため、流れる電流が大きくなっても分離された接点に影響がなく確実な動作が可能となる。
欠点として、VCBのトリップコイルを動作させる直流電流装置が必要となる。
※コスト面の観点から小規模設備のCB形受電ではあまり採用されていない事が多い。

設備容量500kVA以上の、中規模〜大規模のCB形受電に採用されていることが多い。

直流電源装置の緑竜電圧をVCBトリップに使用するためVCBは電圧引き外し方式を選定する。

常時閉路式

図:電流引き外し方式

VCBトリップコイルと内部接点が並列接続されているが
VCBトリップコイルのほうには抵抗があるのでほとんど電流が流れない。

しかし、電流検出部に整定値以上の電流が一定時間以上流れると
接点が開き強制的にVCBトリップコイルに電流を流して動作させる。

CT2次側から流れてきた電流を利用してVCBトリップコイルを動作させるため電流引き外し方式のVCBを選定する。
この方式は外部の直流電源が不要なため設備を簡素化でき、コストも抑えることができるが
短絡時にCT2時側に流れる大電流を内部の接点で解放しなければいけないので接点が故障する施設がある。

試験準備段階における重要な手順

継電器試験を安全かつ正確に行うためには
準備段階での確認が非常に重要となる。

試験前に注意すること

  • 確実な停電作業と安全確保
    他電源法で試験を行う場合は、まず遮断器を開放し、引込口の開閉器も開放する。
    その後、受電設備内の無電圧を検電器で確実に確認してから、アースフックを取り付けること。
    ※感電事故を防ぐための基本。
  • 試験回路の接地確認
    受電盤の試験回路が接地されていないことを確認する。
    意図しない接地があると、試験電流が逃げてしまい正確な試験ができなくなる。
  • 計器類の保護(電流計の切り離し)
    試験を行う前に、必ず電流計を切換スイッチで「切」にしておく。
    これを忘れたまま試験電流を流すと、メータを損傷させてしまう恐れがあるため注意が必要となる。
    盤面の切換スイッチ操作は忘れずに行うこと。

試験用電源(携帯用発電機)に関する注意点

現場によっては、試験用の電源としてエンジン付きの携帯用発電機を使用することがある。
この場合、電源の質(波形)に注意を払う必要がある。

  • ひずみ電流による試験結果への悪影響
    携帯用発電機を試験用電源に使用するときは
    発電機から出力される電流の波形ひずみ(ひずみ電流)によって、試験の結果に悪影響を及ぼすことがある。
  • 静止形継電器での注意
    電子回路で構成された「静止形過電流継電器」を試験するときは
    このひずみ電流の影響を受けやすいため注意が必要となる。

近年では、波形ひずみが少ない正弦波インバータ搭載の発電機や
ポータブルバッテリー(ポータブル電源)を使用する現場が増えており
より正確な試験が求められる場合は、これらの良質な電源を使用することが推奨される。

試験終了後の復旧と確認事項

試験が無事に終わった後の「復旧作業」も、試験そのものと同じくらい重要となる。
復旧忘れは重大なトラブルを引き起こす可能性がある。

  • 試験用端子の確実な復旧
    試験が終了した後は、取り外したり操作したりした試験用端子の短絡片を必ず元に戻すこと。
    また確実に接続されているか(緩みがないか)を確認すること。
  • 受電後の計器指示の確認
    復旧作業を終えて受電した際に、電流計の指示が正常に出るかを確かめることが忘れないこと。
    これにより、電流回路(CT回路)が断線することなく正常に復旧できているかを最終確認が可能となる。
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