漏電遮断器の基礎知識まとめ

漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)は
電気回路に漏電が発生した際に、感電事故や火災を防ぐために自動的に電気を遮断する安全装置。
ELCB(Earth Leakage Circuit Breaker)とも呼ばれる。

漏電遮断器の役割

  1. 感電防止: 漏電が発生すると、電気機器の外箱やコンセントなどに触れると感電する危険がある。
    漏電遮断器は、微小な漏電電流を検知して瞬時に電気を遮断し、感電事故を未然に防ぐ。
  2. 火災防止: 漏電電流が流れ続けると、電線の被覆が劣化したり、発熱したりして火災の原因となることがある。
    漏電遮断器は、このような漏電による火災の発生を防ぐ。

漏電遮断器の仕組み(動作原理)

漏電遮断器は、主に以下の部品で構成され、漏電を検知して回路を遮断する。

  • 零相変流器(ZCT: Zero-phase Current Transformer)
    回路内の「行き」と「帰り」の電流値を常に監視している。正常な状態では、行きと帰りの電流値は同じだが
    漏電が発生すると、電流が大地に漏れ出すため、行きと帰りの電流値に差が生じる。
  • 電子回路: 零相変流器で検知された電流の差(漏れ電流)を増幅し、一定以上の差が生じた場合に遮断信号を出す。
  • 電磁装置・遮断器部: 電子回路からの信号を受けて、瞬時に電気回路を遮断する。

一般的に数mA(ミリアンペア)から数十mAの漏れ電流を0.1秒以内という高速で検知し、遮断する

漏電遮断器の内部機構

内部接続図例 

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菱ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器漏電アラーム遮断器単3中性線欠相保護付ノーヒューズ遮断器単3中性線欠相保護付漏電遮断器漏電リレー・リモコン機器・サーキットプロテクタ取扱いと保守
より 画像引用

漏電遮断器の種類

  • 高感度形 – 高速形: 定格感度電流は5~30mAで、動作時間は0.1秒以内
    感電防止に重点を置いたタイプで、一般家庭や水回りなどで使用される。
  • 高感度形 – 時延形: 定格感度電流は5~30mAで、動作時間は0.1~2秒以内
    分電盤の主幹などに使用され、下位の漏電遮断器との協調を取ることで、広範囲の停電を防ぐ。
  • O.C.付(過電流保護付): 漏電保護に加えて、短絡(ショート)過負荷による過電流からも
    回路を保護する機能を持っている。
    一般的に家庭の分電盤の主幹ブレーカーとして使われるのはこのタイプとなる。
  • O.C.なし(過電流保護なし): 漏電保護のみの機能を持つタイプ。
    ※過電流保護は別のブレーカーと組み合わせて使用する必要がある。

漏電遮断器の設置場所

電気設備に関する法規により、漏電遮断器の設置が義務付けられている場所がある。

  • 住宅の電路: 住宅には漏電遮断器の設置が推奨されています。
  • 水気のある場所や湿気の多い場所: 台所、風呂場、屋外など、水や湿気のある場所で使用される電気機械器具の電路には設置が義務付けられている。
  • 対地電圧が150Vを超える電路: 特に人が触れるおそれのある場所に設置される金属製の外箱を有する機械器具の電路など。

漏電遮断器の選定方法

漏電遮断器を選定する際には、以下の要素が考慮される。

  • 保護目的: 感電事故防止が目的なら30mA(0.1秒以内動作)火災防止が目的なら100mA(0.3~0.8秒動作)
    など、感度電流と動作時間を検討する。
  • 負荷の定格電流: 接続する電気機器や回路全体の最大電流に合わせて、定格電流を選定する。
  • 設置場所: 水気のある場所ではより感度の高いものを選ぶなど、設置環境に応じた選択が必要。
  • 保護協調: 上位と下位の漏電遮断器を設置する場合、上位の動作時間を下位よりも遅く設定することで
    漏電発生時に影響範囲を最小限に抑えることができる。

漏電遮断器の設置義務に関する法規・基準

漏電遮断器の設置は
主に「労働安全衛生規則」「電気設備技術基準の解釈」「内線規程」によって義務付けられている。

主な法令・規程の根拠

  • 労働安全衛生規則
    電動機械器具の漏電による感電防止のため、感電防止用漏電遮断装置の取り付けが義務付けられている。
    対象例として、ベルトコンベア、電気ドリル、水中ポンプなど。
  • 電気設備技術基準の解釈
    第10条、第147条、第187条、第228条、第230条、第234条などに具体的な設置要件が定められている。
  • 内線規程(第1375節など)
    場所や電圧の条件に応じた詳細な施設基準が規定されている。

施設場所と対地電圧による設置区分(内線規程の施設例)

機械器具の施設場所屋内(乾燥した場所)屋内(湿気の多い場所)屋側(雨線内)屋側(雨線外)屋外水気のある場所
対地電圧 150V 以下
対地電圧 150V超 300V以下
  • :漏電遮断器を施設すること。
  • :住宅に機械器具を施設する場合には、漏電遮断器を施設すること。
  • :住宅構内または道路に面した場所に、ルームエアコン、ショーケース、アイスボックス、自動販売機などを施設する場合には施設すること。

設置工事における重要ポイントと禁止事項

漏電遮断器の機能を正しく発揮させ
機器破損や不要動作(誤動作)を防ぐための施工・結線ルールとなる。

電源側と負荷側の逆接続禁止

  • 半導体式の漏電遮断器において、負荷側に電源を誤接続(逆接続)すると
    地絡時にトリップ動作しても地絡検出部に電圧が印加され続ける。
  • 結果として引外しコイルが焼損する原因となるため
    端子の「電源側(LINE)」「負荷側(LOAD)」表示通りに正しく結線する必要がある。

接地線(アース線)の共用・混触の防止

図:負荷機器外箱の接地

漏電遮断器を経由していない負荷機器と、経由している負荷機器の接地線を共用(同一接地極・渡り配線)していると、保護されていない側の地絡時に生じた電位が接地線を通じて回り込む可能性がある。

これにより、漏電遮断器で保護された健全な機器の外箱に接触電圧が現れるため
接地線は適切に分割・独立させて配線する必要がある。

その他の設置禁止パターン

左図:近接大電流母線 中央図:並列接続 右図:バイパス使用

  • 大電流母線への極端な接近
    1000A以上の大電流が流れる母線・ケーブルと10cm以内に接近して配置すると
    磁界の影響で不要動作(誤トリップ)を起こすおそれがある。
  • 並列接続の禁止
    遮断器同士を並列に接続して容量を稼ぐような配線は
    内部の引き外し回路のバランスを崩し引外しコイル焼損につながる。
  • バイパス回路の形成
    遮断器を迂回する回路を組むと正常に地絡電流を検知できず
    コイル焼損や不動作の原因になる。
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