需要率(じゅようりつ)は、電気設備を設計したり、電力会社との契約電力を決めたりする上で
非常に重要な指標となる。
持っている電気設備の能力に対して、実際に同時にどれだけの電力を最大で使用しているかを示す割合のこと。
下図は負荷変動の状況を時間的に表した 負荷曲線例。
需要家の最大電力はすべての設備が同時には使用されないので、設備容量より小さいのが普通となる。
この両者の比が 需要率となる。
各設備の需要率がわかれば、その設備の最大電力を予想が可能となる。
需要率は、以下の計算式で表される。
需要率は
「持っている電気設備(設備容量)を
最も電気を使う瞬間にどれだけ効率的に使っているか」を示します。
例
これは、この工場が全ての設備を同時にフル稼働させることはなく
最大でも設備全体の60%の能力しか使っていないことを意味する。
電気設備の最適設計
●工場やビルを設計する際、全ての電気機器が同時にフル稼働する状況は稀であり
もし設備容量の合計に合わせて変圧器や配線、ブレーカーを選定すると
実際には必要以上に大きな設備を設置することになり、初期費用が無駄になる。
●需要率を考慮することで、実際に最大で必要となる電力に見合った
最適な容量の変圧器、幹線(太い配線)、ブレーカーなどを選定できる。
これにより、設備投資コストを削減し、過大な設備による無駄を省くことができる。
電力契約の適正化
●電力会社との契約電力(基本料金の算定基準となる電力)は
需要家の最大需要電力に基づいて決定されることが一般的
※デマンド契約など
●需要率を把握することで、自社の最大需要電力の傾向を予測し、電力会社との契約電力を適正な値に設定できる。
過大な契約電力は基本料金の無駄につながり、低すぎる契約電力は
契約電力を超えた場合に割増料金が発生したり、ブレーカーが遮断されたりする原因となる。
省エネルギー対策
需要率を分析することで、どの時間帯に、どの設備が、どれくらいの電力を消費しているかを把握できる。
これにより、無駄な電力消費を特定し、電気機器の効率的な運用方法や、省エネルギー機器の導入を
検討する際の重要なデータとなる。
需要率は、建物の種類や用途によって一般的な傾向がある。
電気設備に関連する似たような指標として、「負荷率」や「不等率」がある。
需要率 (Demand Factor)
負荷率 (Load Factor)
不等率 (Diversity Factor)
需要率、負荷率、不等率の違い一覧表
例えば、ある工場に以下の設備が設置されている場合。
仮この工場が、経験則や過去のデータから需要率が70%と見込まれる場合、
最大需要電力の予測 = 設備容量の合計 × 需要率 = 110kW × 0.70 = 77kW
となる。 この予測される最大需要電力77kWに基づいて、電力会社との契約電力を決定したり
変圧器や主幹ブレーカーの容量を設計したりすることができる。
もし需要率を考慮せず110kWとして設計すると、必要以上に大きな設備を選定してしまうことになる。
新電気2019年 11月号「厳選テーマをいもづる式に徹底解説電験三種 基礎鍛錬第63回 電気施設管理1」
より画像引用