結露についての基礎知識と対策まとめ

結露についての概略

結露とは、空気中に含まれている水蒸気が、温度の低下によって水滴に変わる現象。
身近な例では、冷たい飲み物が入ったコップの表面に水滴がつく現象と同じ原理。

空気は温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができるが、温度が下がると水蒸気を含む量が少なくなる。
この時、空気中の水蒸気量が飽和水蒸気量
(その温度で空気が含むことのできる水蒸気の最大量)を超えると、
余分な水蒸気が水滴となって現れる。
=結露

水滴が発生する温度を「露点温度」と呼ぶ。

結露の発生しやすい条件

結露は主に以下の条件が揃うと発生しやすくなる。

室内と室外の温度差が大きい

特に冬場、暖房で暖められた室内の空気が、冷たい外気に接する窓ガラスや壁、サッシなどに触れると
そこで急激に冷やされて結露が発生しやすくなる。

室内の湿度が高い

室内で水蒸気が多く発生する状況
(加湿器の使用、洗濯物の部屋干し、お風呂の湯気、調理、燃焼式の暖房器具の使用など)では
空気中の水蒸気量が増えるため、より低い温度差でも結露が発生しやすくなる。
湿度が70%以上になると、結露のリスクが特に高まる。

断熱性が低い場所

窓ガラス、サッシ、外壁に面した壁や押し入れ、家具の裏側など
外気の影響を受けやすく、表面温度が低くなりがちな場所は結露が発生しやすい。
特に、断熱材が不足している場所や、気密性が高く湿気がこもりやすい場所も注意が必要。

結露の種類

結露には大きく分けて2つの種類がある。

  • 表面結露
    窓ガラスや壁の表面など、目に見える場所に発生する結露。
    拭き取ることができるため、比較的対処しやすいが
    放置するとカビなどの原因になる。
  • 内部結露
    壁の内部、天井裏、床下など、目に見えない場所で発生する結露。
    断熱材の内部や木材の表面などで発生し、発見が遅れることが多いため
    より深刻な被害につながる可能性がある。

高圧受電設備で結露が発生する原因

高圧受電設備(キュービクルなど)の結露は、機器の故障や絶縁劣化
ひいては停電事故波及事故につながる非常に重要な問題となる。
一般家庭の結露とは異なり、専門的な知識と対策が必要。

結露の発生原因 

内外の温度差
特に冬場、外気温が低く、キュービクル内部の機器からの放熱が少ない場合
内部の空気が冷却され、外気との温度差が大きくなる
この時、外部から湿った空気が侵入すると、機器表面や内部で結露が発生しやすくなる

高い湿度
外部からの湿気の侵入:キュービクルのゲタ基礎部分、扉のパッキンの劣化、通気口、ケーブル引込口などから
湿気を含んだ外気が侵入することがある。

内部での水蒸気発生
ごく稀に、内部の機器からの微量の水蒸気発生や、保守点検時の扉の開放によって
外部の湿気が内部に流入し、それが閉じ込められることもある。

底面からの浸水
ゲタ基礎内に雨水が溜まったり、底板がないキュービクルで地面からの湿気が
直接上がってきたりする場合
も結露の原因となる。

換気不足
キュービクル内部の湿った空気が排出されず、滞留することで湿度が上昇し、結露を促進する。

密閉性の低下
経年劣化により、扉のパッキンが劣化したり、ケーブル引込口の隙間が生じたりすると
外部からの湿気や雨水の侵入リスクが高まる。

機器の経年劣化と汚損
高圧碍子真空遮断器(VCB)などの絶縁物が、ホコリや塩分、油煙などで汚損していると
湿気が付着しやすくなり、絶縁抵抗が低下して結露による影響を受けやすくなる。

高圧受電設備の結露対策

高圧受電設備の結露対策は、機器の安定稼働と事故防止のために極めて重要となり
主に以下の対策が講じられる。

スペースヒーターの設置

目的:キュービクル内部の温度を上げ、相対湿度を下げることで結露の発生を防止する
特に寒冷地や冬季に効果的。

設置場所:高圧機器の周囲や盤内の低い位置に設置されることが一般的。

効果:外気が100%の湿度であっても、キュービクル内部を適切な湿度(85%以下など)に保つために
数℃程度の温度上昇が必要とされており
、スペースヒーターはその役割を担う。

除湿器の設置

目的:キュービクル内部の湿気を物理的に除去することで、湿度を低く保つ。
活用例:特に湿度が高い時期や、換気が難しい環境で効果を発揮する。

換気対策の徹底

通気口の確保と管理
キュービクルの換気口は、内部の熱を排出し、空気の循環を促す役割があるが
同時に外部からの湿気や雨雪の侵入経路にもなり得る。
雨雪が吹き込む恐れがある場合は、ゲタ基礎の両端を遮蔽したり
通気口に養生テープを貼るなどの対策が取られること
があります
(ただし、夏場は熱がこもるため、テープは剥がす必要がある)。
小動物や異物の侵入を防ぐための網やガラリ、パンチングメタルなどの防護措置も重要。

自然換気・強制換気
熱こもりを防ぎつつ、湿気を排出しやすい構造(自然換気)や、ファンによる強制換気も検討される。
ただし、強制換気の場合、外気の湿気を直接取り込むリスクもあるため
設置環境や運用方法を慎重に検討する必要がある。

基礎・設置場所の対策

ゲタ基礎の遮蔽と排水
ゲタ基礎の両端を遮蔽し、雨水や湿気の直接侵入を防ぐ。
ゲタ基礎内に水が溜まらないように、排水口を設けることが重要。

底板の設置
キュービクルに底板がない場合は、底面に鋼板などを施設して、地面からの湿気の侵入を防ぐ。

高所の設置
可能な場合は、地表からの湿気の影響を受けにくいように、高所に設置することも有効。

キュービクルの密閉性向上

パッキンの点検・交換
扉のパッキンが劣化していると、隙間から湿気が侵入する。
定期的に点検し、劣化していれば交換が必要となる。

ケーブル引込口の処理
ケーブルの引込口や配管の貫通部など、隙間が生じやすい箇所は
シーリング材などで確実に密閉する。

機器の定期的な清掃と点検

絶縁物の清掃
高圧機器の絶縁物表面に付着したホコリや粉じん、塩分などは、湿気を吸着しやすく、絶縁低下を招く。
定期的に乾燥したウエスなどで清掃することが有効。ひどい汚損の場合は
エチルアルコールと純水の混合液で拭き取ることもある。

  • 点検時の注意
    点検時にキュービクルの扉を長時間開放すると湿気が内部に流入する可能性がある。
    特に湿度の高い日や梅雨時期は注意が必要。

断熱対策

天井材への断熱材充填
特に寒冷地では、キュービクルの天井材に断熱材を充填すること
内部と外部の温度差を小さくし、結露の発生を抑制する。

名無し管理事務所