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波及事故の発生事故例まとめ

受電設備の事故で保護装置が作動し電気が止まることを示したイラスト
目次

波及事故についての概略

波及事故の原因別の割合(保守不完全等63%・自然災害21%・故意過失14%・鳥獣接触等2%)のイラスト

波及事故とは、高圧受電設備などで起きた事故が原因で
送配電事業者の配電線に接続されている住宅、ビル、工場、病院、銀行、交通機関、交通信号システムなど
さまざまな範囲に停電が広がる事故を言い、毎年全国で 300 件から 500 件発生している。

波及事故が発生すると、機器の損壊など自社の損失だけでなく
他社工場の操業停止、信号機の消灯、病院の医療機器類が停止するなど、社会的に大きな影響を及ぼす。
場合によっては、多大な損害賠償を請求されるケースもある。
波及事故は設置者(波及事故発生者)の責任が問われ、さまざまな被害が伴う重大な事故となる。

波及事故の損害額

損害額は1千万円を超える事例もある。

事故発生者側の損害例

  1. 事故対応に伴う人件費(時間外の発生等)
  2. 突然の停電による操業停止等の損失
  3. 復旧のための緊急の仮設工事の費用
  4. 損傷した電気工作物等の改修費用 など

波及事故被害者側の損害例

  1. 突然の停電による操業停止等の損失
  2. コンピュータへの入力中データの喪失 など

波及事故の発生箇所の割合について

波及事故の98.6%が主遮断装置の電源側で起きていることを示す図と内訳グラフ

※1責任分界点から主遮断装置間のケーブル、主遮断装置本体など

波及事故事例

① 高圧ケーブルの絶縁劣化

絶縁劣化で穴が開いた高圧ケーブルの事故点のイラスト

【事故事例の概要】

高圧受電設備(6.6kV)において事故が発生。
事故の原因は、製造から40年が経過し老朽化した高圧引込ケーブルの絶縁破壊だった。
さらに、UGS(地中線用負荷開閉器)が設置されていなかったため
自構内の事故に留まらず波及事故へと発展してしまった。

【事故の背景と教訓】

直近に行われた年次点検の時点で、すでに絶縁抵抗値が低下する傾向が見られ、設備の改修が検討されていたが
実際に対応を行う前の数ヶ月の間に絶縁破壊が起きてしまった。

② PAS内部へ雨水が浸入して短絡

電柱上で本体が傾いたPAS(気中開閉器)のイラスト

【事故事例の概要】

13年間使用されていたPAS(気中開閉器)の年次点検で保護装置試験を実施中
不具合があったため手動でPASを開放した。
その際、塩害によって腐食していた吊り金具が破損し、PAS本体が傾斜してしまった。
PAS本体も腐食が進んでおり、内部に溜まっていた雨水が内蔵VTに接触したことで地絡が発生し
波及事故へと至った。

【事故の背景と教訓】

前年度の点検ですでに測定値が悪かったため
「PAS更新の計画を立てていたところ」での事故発生だった。
敷設環境が悪い場所では、想定よりも早く設備の腐食や劣化が進行するため
単なる「経過年数」だけでなく、「施設環境」も十分に考慮に入れた上で
手遅れになる前に計画的な設備更新を行うことが必要となる。

③ 落雷による絶縁破壊

事故原因の例:落雷

落雷により、PASが絶縁破壊を起こし波及事故に至った。

対策としては、避雷器(LA)の設置(内蔵型あるいは、外付けの場合は開閉器の負荷側直近)が
有効となる。

④ 掘削工事中に高圧ケーブルを損傷

事故原因の例:重機(ショベルカー)による損傷

掘削工事中に、重機が地中に埋設されていた高圧ケーブルを切断し、波及事故に至った。
工事現場に高圧ケーブルの埋設表示がなく、また、電気主任技術者への確認がされないまま作業が行われていた。

掘削工事の際は、事前に高圧ケーブルの埋設ルートを確認するとともに
電気主任技術者への確認が必要である。

⑤ 小動物の侵入

事故原因の例:ネズミなどの小動物の侵入

事故が起きたキュービクルの内部を確認していたところ
高圧交流負荷開閉器(LBS)の下部にネズミの死骸があった。
このことから、LBSにネズミが接触し、相間短絡となり波及事故に至ったと推測された。

キュービクル基礎部と地面との隙間をふさぎ
小動物の侵入を防ぐことで防ぐことがで対策が可能。

⑥作業者の過失による波及事故

重機が通信線を引っ掛けて倒壊した1号柱のイラスト

事故の経緯

電気関係以外の建設工事中、作業員が重機のアームを上げたまま移動し
通信線用の吊架線に引っ掛けたことで1号柱が倒壊した。。
1号柱が倒壊した際、PASの配線に異常が発生し、波及事故に至った。

【事故の背景と教訓】

構内での工事が行われる際、電気主任技術者から架空線等に関する注意喚起は特段行われていなかった。
構内における電気関係以外の工事であっても、重大な波及事故に繋がる恐れがあるため
このような事態を防ぐためには
事前に「設置者」「電気主任技術者」「工事会社」の三者間で適切に情報共有を行うことが不可欠となる。

⑦作業の慣れによるヒューマンエラー

短絡接地器具を取り付けたまま復電してしまった事故のイラスト

【事故事例の概要】

短絡接地器具を取り付けたまま復電作業を行ってしまい
波及事故に至った。

【事故の背景と教訓】

電気主任技術者が年次点検における「点検作業手順書」を作成していなかったという準備不足があり
さらに、キャビネットに「短絡接地器具取付中」の表示があったにもかかわらず復電作業を開始し
器具を取り外さないままMDSを投入してしまったという重大な過失が重なった。

日々の作業に対する慣れや怠慢が、重大な事故につながるかを示しており
事故を防ぐためには、初心に立ち返り、基本的な作業手順の遵守と確実な安全確認を徹底することが重要となる。

波及事故対応での損失金額

波及事故の損失金額の割合を示す円グラフ(101〜300万円が45%で最多)

被害金額を考慮すると、波及事故前に設備の更新を行った方がよい可能性が非常に高い。

参考資料

中部近畿産業保安監督部 近畿支部 電力安全課 
ポスターより引用

関東東北産業保安監督部 「波及事故防止のお願い!自家用電気工作物設置者の皆様へ」より一部引用

https://www.jea-kansai.jp/iinkai/documents/hakyuujikoboushi2025.pdf
関西電気安全委員会 後援 経済産業省 中部近畿産業保安監督部 近畿支部 電力安全課
波及事故より画像引用

新電気2020年2月号 「現場の電気保安実務第167回 高圧電気設備の電気事故」より一部引用

https://www.safety-kanto.meti.go.jp/electric/data/seminar/r7fy_00.pdf
経済産業省 関東東北産業保安監督部 電力安全課
「令和7年度電気主任技術者セミナー実施概要」より一部引用

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

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電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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