分路リアクトル(Shunt Reactor)は、電力系統の安定化に不可欠な電力機器の一つ。
特に、長距離送電線やケーブル送電線で発生しやすい電圧上昇(フェランチ効果)を抑制し
電圧を安定させる役割を担う。
分路リアクトルの主な目的は
電力系統に発生する過剰な進み無効電力を補償し、電圧を安定させること。
電圧上昇の抑制(フェランチ効果対策)
長距離送電線や軽負荷時には、送電線の対地静電容量(ケーブルの静電容量)が大きくなり
進み無効電力が発生しやすくなる。この進み無効電力が過剰になると
受電端で電圧が上昇する現象(フェランチ効果)が発生し、機器の絶縁破壊や誤動作の原因となる。
分路リアクトルは、この進み無効電力を吸収し、遅れ無効電力を供給することで、電圧上昇を抑制する。
電力系統の安定化
電圧の安定化は、電力系統全体の安定性向上に寄与する。
電圧変動を抑制することで、電力品質を維持し、停電のリスクを低減する。
電力損失の低減
無効電力の適切な補償により、送電線に流れる電流が減少し
送電線での電力損失(抵抗損)が低減され、送電効率が向上する。
分路リアクトルは、電力系統に並列に接続される。
コイルの性質(インダクタンス)を利用しており、電流が流れると磁場を発生させ
この磁場が電流の流れを妨げる。
これにより、遅れ無効電力を消費する(または進み無効電力を供給する)ように機能する。
具体的には、系統電圧が上昇し、進み無効電力が過剰になった際に
制御装置によって分路リアクトルが系統に投入される。
分路リアクトルが接続されると、系統全体に遅れ無効電力が流れ込み
進み力率が補償され、電圧上昇が緩和される。
主に、以下の場所で高電圧送電システムに設置される。
分路リアクトルには、いくつかの種類がある。
メリット
デメリット