インバータは、直流 (DC) 電力を交流 (AC) 電力に変換する電気機器のこと。
この変換によって、モーターの回転速度やポンプの流量などを自由に制御が可能となる。
インバータの基本的な仕組みは、半導体スイッチ(IGBTやMOSFETなど)を高速にオン/オフすることで
直流電圧をパルス状に切り刻み、これをPWM (Pulse Width Modulation)制御によって交流の波形を作り出すこと。
インバータの詳細な仕組み
下記図のようにインバータ装置は前段部と後段部に分かれており
交流から直流に変換する前段部の「コンバータ回路」と
直流から交流に変換する後段部の「インバータ回路」によって構成されている。
広い意味でのインバータ装置とは
コンバータ回路とインバータ回路がセットで使われて「交流→交流」への変換になるのに対し
個別のインバータは回路や機能を示しているので、「直流→交流」の変換になる。
このように、とらえ方により「インバータ」の意味が異なってくる。
インバータは高速スイッチングを行う半導体素子を使用しているので
商用電源に比べてケーブルと大地間や電動機の静電容量を通して
高調波の漏えい電流が流れやすくなる。
この漏えい電流により周辺機器が影響を受けることがある。
インバータ使用時の漏洩電流ルート
①ノイズフィルタと大地間の静電容量によるもの
②インバータと大地間の静電容量によるもの
③インバータと電動機間配線と大地間の静電容量によるもの
④別系統のインバータと電動機間配線との静電容量によるもの
⑤電動機の共通接地ラインからの回り込みによるもの
⑥大地間の静電容量を通しての別系統への回り込みによるもの
がある。
これらの漏えい電流の流れるルートから
次のような影響が発生することがある。
① 漏電遮断器(ELCB)の不要動作への対策
② ほかの電子機器へのノイズ対策
影響を受けている電子機器の接地をインバータの接地経路と別にする。
③ 外部サーマルリレーの誤動作への対策
④ 配線と接地方法の対策
新電気 2023年11月号現場の疑問解決塾 「インバータ」より画像引用