残留電荷の危険性と対策についての備忘録

高圧電気設備における残留電荷とは、停電(回路を開路)した後でも
電力ケーブル電力コンデンサなどの静電容量を持つ機器に一時的に蓄えられて残っている電気の電荷のこと。

残留電荷が発生する主な原因

高圧電気設備、特に受変電設備などには
電圧を安定させたり力率を改善したりするための機器が含まれており、これらが残留電荷の主な発生源となる。

電力ケーブル

導体とシース(金属製の外装)の間に絶縁体があり、これがコンデンサの役割を果たす。
ケーブルが長くなると、蓄えられる電荷量も大きくなる。

電力コンデンサ(力率改善用コンデンサ)

意図的に静電容量を利用して力率を改善するための機器で
停電後も大きな電荷を蓄えることがある。

変圧器(トランス)や遮断器などの絶縁物

機器内部の絶縁体にも、わずかですが静電容量が存在し、電荷を蓄える可能性がある。

残留電荷の危険性と対策

安全確保のための手順

停電作業を行う際は、次の手順で安全を確保する必要がある。

  1. 開路(電源遮断)
    遮断器断路器を開き、電路を電源から切り離す。
  2. 施錠・表示
    開路に用いた開閉器に施錠し、通電禁止の表示を行う。
  3. 検電
    検電器を使用して、電路に電気が流れていないこと(停電)を確実に確認する。
  4. 残留電荷の放電
    • 放電装置(専用の抵抗体など)を用いて、ケーブルやコンデンサの残留電荷を大地に安全に放電させる。
    • 感電防止のため、放電作業は絶縁工具を使用し、適切な保護具を着用して行う。
  5. 短絡接地
    誤通電、他の電路からの混触、誘導による危険を防止するため、電路を短絡させ、かつ接地する。
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