風雨、特に台風や豪雨の際には、高圧受電設備(キュービクルなど)に対して
以下のような重大な影響が発生し、停電事故や波及事故につながる危険性がある。
浸水・雨水の吹き込みによる影響
屋外の区分開閉器(PAS/UGS)なども、気密性能の劣化により内部に水が浸入・蓄積し
絶縁劣化を起こす事例がある。
強風による影響
雨水や湿気の浸入は、機器の錆を発生させ、経年劣化を加速させる。
高圧気中負荷開閉器 (PAS)
PASの役割
電力会社との責任分界点に設置されており
高圧ケーブルや高圧受電設備で地絡事故が発生した際に開閉器が開放し、波及事故を防止する。
PAS外箱の劣化や防水ブッシングの亀裂・破損などにより
PASの内部に雨水が浸入してしまうと、本来の機能を果たせなくなる可能性がある。
対策
PAS内部へ雨水が浸入していないか判断するために、トリップコイルの絶縁抵抗測定および抵抗測定を実施する。
一般的なトリップコイルの絶縁抵抗判定値は下記の通り
トリップコイルの抵抗値はメーカーごとに正常値が異なるので
事前に取扱説明書などで確認をしておく必要がある。
またPASの更新推奨時期を屋内で15年、屋外用で10年としているため
この年数を目安に顧客に更新計画を立てるよう助言を行う。
※JEMA 一般社団法人日本電機工業会参照
高圧ケーブル
高圧ケーブルの絶縁体である架橋ポリエチレンに水トリーが発生し
最終的に絶縁破壊に至る。
対策
屋外ケーブル端末部
屋外のケーブル端末部のカバーは、上部から雨水が浸入すると下部から水を排出する仕組みになっている。
しかし、カバーを深く差し込みすぎたり、施工時に下部をテープ巻きしてしまったために
カバー内部に水がたまり、トラッキングによってカバーが焼損してしまう事故が発生している。
対策
キュービクル内部への雨水浸入
左図:キュービクル内部に侵入する雨水イメージ 右図:キュービクル内部への雨水侵入対策
1986年以前に製造されたキュービクル or 1986年2月以降に製造されたJIS規格外のキュービクルは
暴風雨の対策が不十分なものがあり、台風など暴風雨によってキュービクル内部に雨水が浸入する恐れがある。
上左図に雨水がキュービクルに浸入するイメージを示す。
キュービクル内部に雨水が浸入すると、地絡や短絡事故が発生する可能性がある。
対策
| 対策箇所 | 具体的な措置(異常気象時・恒久的な対策) |
| キュービクルの開口部 | 換気口・通気孔:強風雨が予想される際は 養生テープなどで一時的に塞ぐ。 ただし、夏季など機器の冷却が必要な時期は塞がない。防噴流対策板や水平水切板を設置する。 |
| 外箱・扉 | 扉の隙間や施錠の不具合を点検し 隙間があればシール材などで閉塞処置を行う。 腐食・破損箇所は定期的に補修する。 老朽化した設備の気密性能を点検し 必要に応じて更新を計画する。 |
| ゲタ基礎(架台) | ゲタ基礎の両端に遮へい板や遮風板を取り付け 下部からの吹き上げによる雨水・湿気の浸入を防ぐ。 |
| ケーブル引込口 | ケーブルと配管の隙間をシール材で確実に 閉塞(パテ埋め)し、雨水や小動物の侵入を防ぐ。 |
| 浸水対策 | 浸水のおそれがある場合は止水板や土嚢を設置し 排水口を設けて滞留を防ぐ。 耐水性の高い電気設備の採用も検討する。 |
新電気 2020年5月号「風雨による高圧電気設備への影響とその対策の備忘録」より引用
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JEMA 一般社団法人日本電機工業会
汎用高圧機器の更新のおすすめ より一部引用