VCS(高圧真空コンタクタ)とは
主接触子を電磁石の力で開閉する装置で、高い遮断性能と長寿命を実現した高圧用の開閉器。
主に、頻繁な開閉を行う高圧機器の開閉器(モータ、変圧器、コンデンサ)の制御に用いられる。
https://www.toshiba-tips.co.jp/products/powersupply/vacuum-magnetic-contactor.html
東芝ホームページより引用
特徴
負荷開閉回数の耐久性が非常に高い(約100,000回~250,000回の開閉に耐えられる)
進相コンデンサの投入・遮断など、限られた負荷に対する多頻度開閉に使用する
VCS(PFヒューズなし)の場合、VCSの上流にLBSの設置が必要。
VCS(高圧真空コンタクタ)の主な特徴
- 高い遮断性能: 真空中でアーク放電が速やかに消弧されるため、優れた遮断性能を発揮する。
特に、比較的小さな事故電流の遮断に適している。 - 長寿命: 真空中で接点の消耗が少ないため、機械的寿命・電気的寿命ともに長く、頻繁な開閉に耐えられる。
- 安全性: 開閉時に外部へのアークの露出がなく、安全性が高い。
- コンパクトな設計: 真空バルブの採用により、比較的小型・軽量。
- メンテナンス性の向上: 接点の消耗が少ないため、メンテナンス頻度が低減される。
- 進相コンデンサの開閉に最適: 投入時の突入電流を抑制する機能を持つものもあり
進相コンデンサの開閉に広く用いられる。 - 電力ヒューズとの保護協調: 高圧限流ヒューズとの保護協調が比較的容易。
高圧真空コンタクタの構造
主に以下の要素で構成されている。
- 真空バルブ: 内部を高真空に保ち、接点と消弧室を内蔵している。
- 駆動機構: 電磁石や空気圧などを用いて、接点の開閉動作を行う。
- 主回路導体: 電流を流すための導体。
- 補助接点: 主回路の開閉状態を示す信号を出力するために用いられる。
- 外箱: 内部機構を保護し、外部との絶縁を確保する。
高圧真空コンタクタの動作原理
- 投入時: 駆動機構により可動接点が固定接点に接触し、回路が閉じる。
- 遮断時: 駆動機構により可動接点が固定接点から離れると、接点間にアーク放電が発生する。
- 消弧: 真空バルブ内の高真空状態と特殊な接点形状により、発生したアークは速やかに消弧される。
これにより、安全かつ確実に回路を遮断することができる。
高圧真空コンタクタの用途
- 高圧モータの始動・停止・制御: ポンプ、ファン、コンベアなどの産業用モータの制御に広く用いられる。
- 高圧変圧器の一次側開閉: 受電設備の変圧器の制御に用いられる。
- 高圧進相コンデンサの開閉: 力率改善用のコンデンサバンクの制御に不可欠。
- その他高圧負荷の開閉: 電気炉、溶接機など、頻繁な開閉を必要とする高圧負荷の制御に用いられる。
高圧真空コンタクタの選定における注意点
- 定格電圧・電流: 使用する回路の電圧・電流に適合した製品を選定する必要がある。
- 開閉頻度: 予想される開閉頻度に適した機械的寿命を持つ製品を選定する必要がある。
- 適用負荷: 制御する負荷の種類(モータ、コンデンサなど)に適した特性を持つ製品を選定する必要がある。
- 保護協調: 使用する保護継電器やヒューズとの協調を考慮する必要がある。
- 設置環境: 設置場所の環境条件(温度、湿度、塵埃など)に適合した製品を選定する必要がある。
高圧真空コンタクタのメリット・デメリット
メリット
- 高い遮断性能
- 長寿命
- 安全性が高い
- コンパクト
- メンテナンス頻度が低い
- 進相コンデンサの開閉に適している
デメリット
- 高圧遮断器と比較して、大事故電流の遮断能力は一般的に低い
- 構造がやや複雑