戸上製SOG(方向性LTR-P形)の取扱方法まとめ

SOG(方向性地絡継電器)について

DGRは、地絡事故を検出して電気回路を保護する継電器の一種.
主な特徴として地絡電流の大きさに加えて、その方向(位相)を検出できるが挙げられる。
これにより、事故が発生した方向を特定し、自らの構内で発生した地絡事故と、他の場所で発生し自らの設備に影響を与えている地絡電流(もらい事故)とを区別することができる。

D801-CLはDGR中のSOGに分類される。
SOGとはStorage Over current Groundの略で過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ動作のことをいう。

SOG付開閉器の動作

  1. 地絡事故時は、SOG制御装置(地絡継電器)が作動し、開閉器を開放させる。
    (電源側の高圧電路は停電しない
  2. 過電流事故時(開閉器のロック電流値以上の事故電流)は、電源側の遮断器の動作により高圧電路が停電して制御電源がなくなると、開閉器は自動的に開放し事故点を切り離す。(SO動作
  3. 地絡と過電流事故が重なった時は、過電流蓄勢トリップ動作(SO動作)が優先し、2)と同じく過電流事故時の動作をする。

戸上製SOG(方向性LTR-P形)の定格

型式英字の意味

仕様

項目内容
定格制御電圧AC100/110V(変動範囲85〜120V)
定格周波数50/60Hz
消費電力8VA
地絡動作電圧整定値(完全地絡時の)2-5-7.5-10%(4段切替)
動作位相特性(注1)遅れ60°±15°〜進み120°±15°
地絡動作電流整定値0.2-0.3-0.4-0.6A(4段切替)
地絡動作時間整定値(注2)0.1-0.2-0.3-0.5秒(4段切替)
警報接点容量閉路電流(誘導負荷)AC100V 2A/DC100V 2A
位相特性図(下記図参照)
規格JIS C 4609 準拠

位相特性図

戸上製SOG(方向性LTR-P形)の試験条件および管理値

試験項目方向性:管理値方向性:試験条件
動作電流値整定電流値の±10%Vo:整定電圧値の150%
θ:30°
動作電圧値2%設定 (76V±25%)
5%設定 (190V±25%)
7.5%設定 (285V±25%)
10%設定 (381V±25%)
Io:整定電流値の150%
θ:30°
動作時間整定電流値の130% → 地絡動作時間整定値の±0.1秒 400% → 地絡動作時間整定値の-0.1〜+0秒Vo:整定電圧値の150%
Io:整定電流値の130%, 400%
θ:30°
動作位相特性遅れ45°〜75°
進み105°〜135°
Vo:整定電圧値の150%
Io:2A
(最小動作電流値の1000%)

【方向性】
地絡動作電圧はテスト端子(T)とアース間、あるいは主回路三相一括とアース間に印加する。
Vo:地絡動作電圧
Io:地絡動作電流
θ:動作位相角動作時間
はSOG制御装置のみの時間。

連動試験での動作時間は上表の管理値に0.1秒プラスした値。
(例:動作時間整定値を0.2秒に設定した場合、整定電流値の130%通電時0.4秒以内、400%通電時0.3秒以内)
動作位相特性試験時に、試験器によっては2A(Io最小整定値の1000%)が流せない場合がある。
その場合は、0.3A(Io最小整定値の150%)で実施すること。

地絡動作時間制定値が0.1秒の場合の管理値は
130%で0.07~0.17秒、400%で0.06~0.13秒。

戸上製SOG(方向性LTR-P形)の外部配線図

方向性VT内蔵形接続図

方向性VT・LA内蔵形接続図

警報接点の使用例

警報回路例

警報接点

設置・構造形式端子符号用途・機能閉路時間
屋外形
表面形
B1-Bc地絡・過電流共用0.5秒
B2-Bc微地絡・自己診断共用0.5秒
埋込形B1-Bc地絡0.5秒
B2-Bc過電流0.5秒
B3-Bc微地絡・自己診断共用0.5秒

LTR-P形ではをB1、B2、Bcをa1、a2、acと読み替えること。

戸上製SOG(方向性LTR-P形)の端子配置

SOG制御装置端子記号の説明

埋込形端子の種類(機能説明)
P1制御電源入力端子。
P2端子を接地相側とする。
VT内蔵タイプ開閉器と組合せる場合、別電源の共バサミ(二重印加)は絶対に行わないこと。
開閉器内蔵VTが焼損する。
P2~
Kt零相変流器の試験用端子。
Lt~
VaVa-Vc:開閉器トリップ時に電圧を出力する端子。
Vb-Vc:過電流ロックリレーの入力端子。
Vb~
Vc~
T零相電圧検出器の試験用端子。
a1
a2
a3
ac
a1-ac
地絡の警報接点。
GR動作時に0.5秒間閉路します。
a2-ac
過電流の警報接点。
SO動作時に0.5秒間閉路する。

a3-ac
自己診断の警報接点。
自己診断異常検出時に0.5秒間閉路する。
Y1Y1-Z2 (Y1-Z2/E)
零相電圧検出器の二次側電圧入力端子。
Z1-Z2 (Z1-Z2/E)
零相変流器の二次側電流入力端子。
Z1~
Z2
(Z2/E)
~

戸上製SOG(方向性LTR-P形)各部の名称

項番名称機能
(1)地絡動作電流整定スイッチ動作電流整定値を設定する。
(2)制御電源表示灯制御電源が印加されると点灯する。
(3)I0表示灯(方向性のみ)動作電流整定値以上の零相電流を検出すると点灯する。
(4)V0表示灯(方向性のみ)動作電圧整定値以上の零相電圧を検出すると点灯する。
(5)地絡動作時間整定スイッチ(方向性のみ)動作時間整定値を設定する。
(6)自己診断異常表示灯
LTR-R形 方向性のみ)
自己診断異常の検出時点灯する。
(7)地絡動作電圧整定スイッチ
(方向性のみ)
動作電圧整定値を設定する。
(8)GR動作表示器GR動作状態を表示(橙色)する。
(9)SO動作表示器SO動作状態を表示(橙色)する。
(10)自己診断異常復帰ボタン
LTR-R形 方向性のみ)
GR動作表示器、SO動作表示器
自己診断異常検出状態を復帰する。
表示復帰兼自己診断復帰ボタン
LTR-P形 方向性のみ)
GR動作表示器、SO動作表示器
自己診断異常検出状態を復帰する。
(11)GR動作試験用スイッチ/SO動作試験用スイッチGR動作試験用スイッチを
2秒以上押下すると地絡動作を模擬した試験が可能。
また、SO動作試験用スイッチを2秒以上押下すると
過電流動作を模擬した試験が可能。
実際に開閉器がトリップ操作時注意すること。

戸上製SOG(方向性LTR-P形)の動作確認方法

地絡動作の確認

■ 試験用スイッチの確認
① 負荷側(高圧)回路の安全および電線接続を確認し、本開閉器を投入する。

② 制御電源の印加を確認する。(LED:赤色)

③ GR動作試験用スイッチを2秒以上押下する。
GR動作/SO動作試験用スイッチをGR側に2秒以上倒す。


④ 開閉器がトリップする。

⑤ GR動作表示器が表示する。(橙色)

⑥ 警報接点LTR-P形はa1-ac間およびa2-ac間が閉路する。

⑦ 開閉器操作ハンドルの「切」側を引いて「リセット」する。
「リセット」しないと再投入できない。

⑧ 開閉器操作ハンドルの「入」側を引いて開閉器を投入する。

⑨ 「GR動作表示器」を「リセット」する。

SO動作の確認

SO動作試験用スイッチを2秒以上押下する。
GR動作/SO動作試験用スイッチをSO側に2秒以上倒す。
※試験用スイッチ・ボタンによるSO動作を連続で実施する場合は、3秒以上間隔をあけること。

② 開閉器がトリップする。

SO動作表示器が表示する。(橙色)

④ 警報接点LTR-R形はB1-Bc間(屋外形・表面形)またはB2-Bc間(埋込形)が
LTR-P形はa1-ac間(屋外形・表面形)またはa2-ac間(埋込形)が閉路する。

⑤ 開閉器操作ハンドルの「切」側を引いて「リセット」する。
「リセット」しないと再投入できない。

⑥ 開閉器操作ハンドルの「入」側を引いて開閉器を投入する。

⑦ 「SO動作表示器」を「リセット」する。

戸上製SOG(方向性LTR-P形)試験についての注意事項

① 警報接点を使用している場合は、制御線a1、a2、a3、acをSOG制御装置の端子台から外す。

この時外した制御線が他の制御線やアースに接触しないよう注意すること。
絶縁テープなどで保護するなどの対策が推奨される。


② 動作試験については開閉器が投入された状態でも可能だが
開閉器をトリップさせない時は制御線Va、Vb、VcをSOG制御装置の端子台から外すこと。
→SOGの動作表示だけのを確認したい場合の試験が可能
※制御線Va、Vb、Vcを外しているときは実質無保護状態なので試験は手早く行うこと
この時、外した制御線が他の制御線やアースに接触しないよう注意すること。


③ 連動試験を行う時は
試験器の電源を開閉器の負荷側から供給する。
また、SOG制御装置のP1、P2端子からの電圧トリップ信号で
地絡動作時間を測定することにより連動試験を行うことも可能。

【配電線残留電圧の影響について(方向性のみ)】
単相回路の接続や高圧自動電圧上昇器(SVR)の設置によって
配電線の対地静電容量対地電圧が不均衡であれば地絡事故がなくても零相電圧として常時発生する。
これを「残留電圧」と呼び、この状態で試験電圧を加えると
残留電圧と試験電圧のベクトル和がSOG制御装置に印加されるので
残留電圧が大きいと正常値で動作しない時がある。
この時は開閉器を開放して、残留電圧の影響をなくし、試験を実施すること。

位相特性試験で開閉器を含めた時間測定を行う場合
SOG制御装置への地絡模擬信号印加から開閉器開放後の電圧の低下
(試験器が停電と判断する電圧値)までの時間を測定している。
そこで開閉器負荷側に力率改善用のコンデンサ等が設置されている場合
開閉器開放後においても残留電圧により電圧がなだらかに低下する
(力率改善用コンデンサのC分、トランスや他の動力等のL分(モータ等)および
回路抵抗のR分により開閉器開放後に自由振動が発生し減衰波形が生じる)ため
実際の動作時間より伸びる傾向にある。

戸上製SOG(LTR-P形)の試験方法

VT内蔵形、VT・LA内蔵形の場合で
開閉器の主回路に高電圧が印加されていない(開閉器内蔵VTに対して)状態
(他電源状態)

※下図の試験回路はSOG制御装置のみの地絡動作時間測定となる
SOG制御装置の性能試験(動作試験)を実施される場合には
制御線P1(黒)、P2(白)をSOG制御装置の端子台から外し
試験器の別電源をSOG制御装置のP1、P2端子に印加すること。
内蔵VTの逆昇圧により高電圧が発生し危険なため
制御線P1、P2には絶対に試験器の補助電源は接続しないこと。

左上図:戸上電機製作所(DGT)によるテスト回路の一例 
右上図:ムサシインテック製(RDF)によるテスト回路の一例
左下図:双興電機製作所製(DGR)によるテスト回路の一例

開閉器の主回路に高電圧が印加されている(開閉器内蔵VTに対して)状態
(自電源状態)

開閉器からのP1、P2の電源を使用して、SOG制御装置の性能試験(動作試験)を実施される場合には
制御線P1、P2がSOG制御装置のP1、P2端子に確実に接続されているか確認すること。
VT破損や感電の恐れがあるので
試験器の別電源等をSOG制御装置のP1、P2端子に印加したり
開閉器からのP1、P2 (AC105V)を試験用電源には絶対に使用しないこと。

左上図:戸上電機製作所(DGT)によるテスト回路の一例 
右上図:ムサシインテック製(RDF)によるテスト回路の一例
左下図:双興電機製作所製(DGR)によるテスト回路の一例

参考文献

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.togami-elec.co.jp/document/catalogs/102t.pdf
株式会社戸上電機製作所 取扱説明書過電流ロック形 高圧気中負荷開閉器

開閉器:KLT-PA形 SOG制御装置:LTR-P形LTR-R形 より一部引用

名無し管理事務所