高圧受電設備やそれに関連する電気設備において
重要なシステムや機器の保安・制御電源として欠かせない存在が
CVCF(定電圧定周波数電源装置、一般的にはUPS/無停電電源装置)となる。
CVCFは Constant Voltage Constant Frequency の略で
日本語では「定電圧定周波数電源装置」と呼ばれる。
多くの場合、停電時に電力を供給し続ける「バッテリー(蓄電池)」を内蔵しているため
実務上は「UPS(無停電電源装置)」と同義、あるいはUPSの機能の一部(電圧・周波数を安定させるインバータ回路の特性)として扱われる。
高圧受電設備そのものは高電圧(6,600Vなど)を扱うが
それを制御する回路(受電盤・配電盤)や、その先にある重要な負荷設備は
100Vや200Vの低電圧で動いている。
ここにCVCFが導入される主な理由は以下の4点となる。
① 遮断器(VCB等)の制御電源・トリップ電源の確保
万一、高圧系統で短絡や地絡などの事故が発生した場合
保護継電器(OCRやDGR)が異常を検知し
遮断器(VCBなど)に「回路を切り離せ」という指令を送る。
もしこの瞬間に完全に停電して制御電源が失われると
遮断器がトリップ(遮断)できず、事故範囲が周囲に広がる「波及事故」を起こすリスクがある。
CVCFは、このような異常時でも確実に保護装置や遮断器を動作させるための電源を供給する働きをもつ。
② 瞬時電圧低下(瞬低)対策
落雷などが原因で、1秒に満たないごくわずかな時間だけ電圧が下がる「瞬低」が発生することがある。
高圧受電設備内の電子機器や、工場・ビルの精密制御機器(PLCなど)は
この一瞬の電圧低下でも誤動作したり停止したりする。
CVCFは内部のコンデンサやバッテリーから瞬時に電力を補うため、負荷機器をストップさせない働きを持つ。
③ BCP(事業継続計画)および防災対策の強化
自然災害などで外部からの送電がストップした際
高圧受電設備に非常用発電機が備わっている場合でも、発電機が起動して
電圧が安定するまでには十数秒〜1分程度のタイムラグ(ブランク時間)が生じる。
CVCFはこの「停電から発電機が立ち上がるまでの空白の時間」を完全に埋める役割を果たし
防災通信設備や保安用の重要監視システムを200%稼働させ続ける。
高圧設備の制御や重要負荷に使われるCVCFには、主に以下の方式があり
信頼性が求められる現場ほど、①の方式が採用される。
| 方式名 | 特徴 | メリット | デメリット |
| ① 常時インバータ給電方式 | 常に商用電源を交流→直流→交流に変換して出力する。 | 停電時の切り替え時間が「ゼロ(無瞬断)」。常に電圧が安定。 | 回路が複雑で、常に変換を行うため損失(発熱)があり、コストがやや高い。 |
| ② 常時商用給電方式 | 通常時は商用電源をそのままスルーで流し、停電時だけバッテリー側に切り替える。 | 小型で安価、通常時の省エネ性能が高い。 | 停電時に数ミリ秒〜十数ミリ秒の切り替えロス(瞬断)が発生する。 |
| ③ ラインインタラクティブ方式 | ②の発展形。通常時は電圧変動をトランスで補正(AVR機能)し、停電時はバッテリーに切り替える。 | コストを抑えつつ、ある程度の電圧変動に対応できる。 | 常時インバータ方式ほどの完全な無瞬断・綺麗な波形ではない。 |
CVCFは「いざという時に動かなければ意味がない」設備であるため
日常・定期の保安点検において以下のポイントが非常に重要となる。
バッテリー(蓄電池)の寿命管理
CVCF本体は長く使えても、内部のバッテリーは消耗品となる
(期待寿命は環境によりますが一般に2〜5年、長寿命タイプで7〜10年程度)。
周囲温度が高いと寿命が著しく短くなるため、キュービクル内や電気室の温度管理が重要となる。
切替動作確認(実負荷試験)
定期点検時などに、実際に商用入力を遮断して、無瞬断でバッテリー給電に切り替わるか
規定の時間バックアップが持つかを確認することが推奨される。
冷却ファンの点検
内部のインバータ回路を冷却するためのファンが故障すると
オーバーヒートで装置全体が停止する原因になる。