不等率(ふとうりつ)とは、複数の需要家(電気を使う人や事業所)または複数の負荷設備(電気機器)がある場合に、それぞれの最大需要電力の合計が、それら全体としての同時最大需要電力よりも大きくなる割合を示す指標。
「個々のピークが必ずしも同時に起こらない」という現象を表す数値のこと。
下図はA、BおよびCの3需要家の負荷曲線となる。
各需要家の最大電力は同時刻に発生するとは限らないので
破線で示した合成電力の最大値Pは、個々の需要家の最大電力の総和(PA + PB + PC)より小さいのが普通となる。最大電力の総和と合成最大電力の比を不等率といい、1より大きな値になる。
※合成最大電力の求め方は下記参照
※個々の最大需要電力の合計: 各需要家または各負荷設備が、それぞれ別々に記録した最大の電力需要の合計値。
※全体の同時最大需要電力: 全ての需要家または全ての負荷設備を合わせた全体として
同時に記録された最大の電力需要。
不等率の重要性
一般的に、異なる需要家や異なる種類の負荷設備では
電力消費のピーク時間帯が異なるため
不等率は1よりも大きい値になる。
不等率の例
ある商店街に3つの店舗A、B、Cがあるとする。
個々の最大需要電力の合計 = 10kW + 15kW + 20kW = 45kW
しかし、これらの店舗の電力消費のピーク時間がずれており
商店街全体の同時最大需要電力が30kWだったとする。
この場合の不等率は、
不等率 = 45kW / 30kW = 1.5
となる。不等率が1より大きいことは、
個々の店舗が別々に最大電力を使用する時間帯が異なり
全体としては個々の最大需要電力の合計よりも少ない電力で済んでいることを示している。
電気設備に関連する似たような指標として、「需要率」や「負荷率」がある。
需要率 (Demand Factor)
負荷率 (Load Factor)
不等率 (Diversity Factor)
需要率、負荷率、不等率の違い一覧表
新電気2019年 11月号「厳選テーマをいもづる式に徹底解説電験三種 基礎鍛錬第63回 電気施設管理1」
より画像引用