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負荷率についての基礎知識まとめ

目次

負荷率についての概略

負荷率(Load Factor)は
ある一定期間において、電力設備や需要家がどれだけ効率的に電力を利用しているかを示す指標。
→最大で使える能力(または実際に使われた最大の電力)に対して、平均的にどれくらいの電力を利用していたかを表す割合。

負荷率の定義と計算式

負荷率は、以下の計算式で表される。

  • 平均需要電力 (kW または kWh/期間)
    ある期間(例えば1日、1ヶ月、1年間など)の総電力量(kWh)を、その期間の時間数で割った値
    例:1ヶ月間の総電力量が72,000 kWhの場合、1ヶ月は720時間なので
      平均需要電力は 72,000 kWh/720 時間=100 kW となる。
  • 最大需要電力 (kW または kVA)
    その同じ期間において、需要家が最も多くの電力を同時に使用した瞬間の電力(デマンド値)。電力会社のデマンドメータで計測される値(一般的に30分間の平均電力の最大値)が使われることが多い。

負荷率からわかること

負荷率が高いほど、その電力利用は効率的」または「平準化されていると評価される。
逆に負荷率が低いほど、電力利用にムラがある」または「設備が十分に活用されていないと評価さる。

例  

  • ある工場の1ヶ月間のデータで、
    • 最大需要電力(ピーク)が200kW
    • 平均需要電力が150kW
    • この場合の負荷率は (150 kW/200 kW)×100=75% となる。

これは、この工場が1ヶ月を通して、最大能力(ピーク)の75%を平均的に使用していたことを意味する。
もし負荷率が低い(例えば30%)なら、最大需要電力は高かったものの
ほとんどの時間帯はあまり電気を使っていなかったことになる。

負荷率の具体的な計算例

ある工場で1ヶ月間(30日 × 24時間 = 720時間)の電力使用データがあったとする。

  • 1ヶ月の総電力量: 108,000 kWh
  • 1ヶ月の最大需要電力: 250 kW
  1. 平均需要電力の計算:
    • 平均需要電力 = 108,000 kWh / 720 時間 = 150 kW
  2. 負荷率の計算:
    • 負荷率 = (150 kW / 250 kW) × 100 = 60 %

この工場は、最大で250kW使っているものの
平均的にはその60%にあたる150kWで運転していたことになる。
もしこの工場の契約電力が250kWで基本料金を払っているとすれば
負荷率を上げる(例:ピークを下げて、同じ電力量をより平準化して使う)
ことで基本料金を削減できる可能性がある。

負荷率の重要性について

電気料金の削減

  • 多くの法人契約や大規模な電力契約では、電気料金は
    「基本料金(契約電力に基づく)」と「電力量料金(使用電力量に基づく)」で構成される。
  • 基本料金は、契約電力(多くの場合、過去1年間などの最大需要電力で決定される)によって決まる。
  • 電力量料金は、実際に使用した電力量(kWh)に応じて決まる。
  • 負荷率が低いということは
    短い時間に大きなピーク電力(最大需要電力)が発生し
    そのために高い基本料金を支払っているにもかかわらず
    ほとんどの時間帯はあまり電気を使っていない、
    という状態。
  • 負荷率を向上させる(ピークを抑え、平均を上げる)ことで
    最大需要電力を引き下げ、結果として基本料金を削減できる可能性がある。
    同じ電力量を使っても、負荷率が高い方が電気料金は安くなる傾向にある。

負荷率向上のための対策

負荷率を向上させる主な対策は
ピークカット」と「谷埋め(ベースアップ)」の2つが重要となる。

ピークカット(最大需要電力の抑制)

デマンド監視
デマンド監視装置を導入し、契約電力に近づいたら警報を鳴らしたり、自動的に一部の設備を停止させたりする

設備の分散稼働
複数の高出力設備を同時に稼働させず、時間をずらして運転する
(例:2台の大型エアコンを同時に立ち上げない、生産ラインの始動時間をずらす)。

蓄電池の活用
ピーク時に蓄電池から放電し、電力会社からの受電量を抑える。

コージェネレーション
自社発電により、ピーク時の電力需要を補う

不要な照明・空調の消灯・停止
ピーク時間帯に意識的に消灯や停止を行う。

谷埋め・ベースアップ(平均需要電力の向上)

夜間電力の活用
昼間よりも電気料金が安い夜間時間帯に、作業や機器の稼働をシフトする
(例:翌日使用する冷却水の製造、蓄電池の充電)。

設備の効率的な利用:
遊休設備をなくし、効率的な運用を心がける。

    負荷率と混同しやすい概念との違い

    電気設備に関連する似たような指標として、「需要率」や「不等率」がある。

    需要率 (Demand Factor)

    • 最大需要電力 / 設備容量の合計
    • ある瞬間において、設備がどれだけ使われているかの効率の最大値
    • 「設備が持っている能力を、最も厳しい瞬間にどれだけ引き出しているか」を表す。

    負荷率 (Load Factor)

    • ある期間の平均需要電力 / その期間の最大需要電力
    • ある期間全体において、設備がどれだけ効率的に利用されているかを示す。
    • 最大で使われる電力に対して、平均的にどれくらい使っているか」を表す。
      負荷率が高いほど、電力の使用が平準化されており、設備の利用効率が良いと言える。

    不等率 (Diversity Factor)

    • 個々の需要家の最大需要電力の合計 / 合成最大需要電力
    • 複数の需要家や複数の負荷設備がある場合、それらの最大需要電力が同時に発生しないことを考慮する係数。
    • 例えば、複数の部屋のエアコンの最大需要電力がそれぞれ異なっていても、それらが同時にピークを迎えることはない、という考え方。
      これにより、全体の変圧器や幹線を個々の最大電力の単純合計よりも小さく設計できる。

    需要率、負荷率、不等率の違い一覧表

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